一括で全ての戸籍を取得できない場合がほとんど
被相続人の出生から死亡までの、戸籍謄本の取得は容易ではありません。
よく分からない・時間がない場合には、専門家に取得を依頼しましょう。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得は必須
相続手続きの書類準備で人にもよりますが、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を全て揃えることが最も面倒と言えるかもしれません。
それは、1回の戸籍請求で済まない場合がほとんどだからです。
被相続人の亡くなられた年齢にもよりますが、ほとんどの場合、複数の役所で複数の戸籍を取得することになります。
そして、被相続人の戸籍謄本は、出生から死亡まで全て揃える必要があります。
それは、相続税の申告はもちろん、不動産の登記変更手続きなどにも必要だからです。
ちなみに代襲相続の場合にも、被代襲者の出生から死亡までの戸籍全てが必要です。
法定相続情報証明制度で、相続の手続きが簡単になったという話しを聞いたけど?
出生から死亡まで全ての被相続人の戸籍謄本なんて必要ないんじゃないの?
確かに法定相続情報証明制度で大幅に相続手続きが簡単になりました。
(詳しくは相続手続きが簡単になる法定相続情報証明制度とはに記載)
しかし、一度は被相続人の出生から死亡までの戸籍全てを取得する必要があります。
確かに法定相続情報証明制度で、登記の手続き・預金払戻しの手続きなど、〇〇手続きの度に必要だった被相続人の出生から死亡までの戸籍が不要になりました。
今までは手続きの度に、被相続人の出生から死亡までの戸籍の束を提出する必要があったのですが、これが省略出来る(省略できない場合もあります)ようになりました。
そうです。手続きの数だけ、被相続人の出生から死亡までの戸籍が何通も必要だったのが、法定相続情報証明制度を利用すれば、1回取得すれば済むという形になりました。
ただ、それでも出生から死亡まで全ての被相続人の戸籍謄本の取得が必要なのには変わりありません。
決して不要になったわけではないので、注意しましょう。
なぜ戸籍の取得が大変なのか?
戸籍の取得の方法についての詳しい内容は、戸籍の取得方法に記載しています。
相続手続きの書類準備で、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得が最も大変かもしれないと記載しました。
それは一括で全ての戸籍を取得できない場合がほとんどだからです。
戸籍は結婚や転籍などがあると、戸籍を保管する役所が変わります。そして、そのたびに新しい戸籍が作成されます。
なので、以下のような場合があるのです。
- 40歳から死亡時までの戸籍は東京の新宿区役所で取得
- 20歳から40歳までの戸籍は沖縄の那覇市役所で取得
- 出生から20歳までの戸籍は広島の広島市役所で取得
取得は出生から順番に取得するのではなく、死亡時から遡って取得していきます。
そして遡るためには、取得した戸籍に何が書いてあるのか?を理解する必要があります。
それは戸籍を読む過程で、その前の戸籍がどこの役所にあるかを把握するためです。
そして、この理解が一筋縄ではいきません。
古い戸籍の場合、読めないことも少なくありません。(戸籍の読み方については、戸籍の読み方に記載)
古い戸籍って何?と思われる方もいるかもしれません。
戸籍は時代とともに様式が変わっています。(詳しくは戸籍の歴史に記載)
そうです。戸籍は
- 取得するのも面倒
- 取得するために戸籍を理解するのも面倒
(様式が変わっていたりするため)
といった特徴があります。
このように戸籍の取得は容易ではありません。
都心綜合会計事務所では、この戸籍の取得の代行もしております。
相続税対策・相続税申告・相続税手続きのことなら、都心綜合会計事務所にお任せください。
動画で解説
相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全てを1回は収集する必要がある、ということについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
相続が発生した場合、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全てが必要となります。
これは、どのような相続でも同じです。
例外はありません。
そして、戸籍を集めるというこの作業は、意外に大変なものです。
なぜなら、出生から死亡までの戸籍というのは、一括で集められないことがほとんどだからです。
戸籍は結婚や転籍などがあると、そのたびに新しい戸籍が作成されます。
そして、これらを出生から順番に取得するのではなく、亡くなったときから過去に遡って取得していきます。
ところが戸籍の保管は、その戸籍の場所を管轄する役所と決められています。
そのため、最新の戸籍は東京の新宿区役所で取れたとしても、その一つ前は沖縄の那覇市役所に保管されているかも知れませんし、生まれたときの戸籍は広島の広島市役所にあるかも知れません。
これを一つ一つ、郵送などで、集めなければならないのです。
さらに、戸籍の内容を一つ一つ読み解く必要もあります。
読み解くことができなければ、生まれたときの戸籍にはたどり着けません。
厄介なのは「戸籍の改製」というものがある場合で、この場合は、その戸籍の古い戸籍「改製原戸籍」まで取得しなければなりません。
古い戸籍は、縦書きでしかも手書きです。
今のコンピュータから打ち出した全部事項証明書と比べるとかなり読みにくいものとなっています。
そして、やっとの思いですべての戸籍が集まったと思ったら、さらにやらなければならないことがあります。
それは法定相続人が誰であるか、すべての戸籍から読み解くことです。
そもそも何のために戸籍を集めたのかというと、その相続で法律上、だれが相続人なのかをはっきりさせるためです。
自分たち以外に本当に相続人がいないのかということを、戸籍でしっかり確認しなければなりません。
ところで平成29年5月から始まった、法定相続情報証明制度という法務局の制度があります。
これは法務局に必要書類をもっていけば、相続関係の証明書を発行してもらえるという手続きです。
これを利用すれば、相続関係の手続きで戸籍の束が必要になるたび、その戸籍を管理する役所に申請しなくてもよくなりました。
ただし、この制度を使うとしても、最初の一回は必ず、出生から死亡までの戸籍を集めて法務局に提出しなければなりません。
しかもこのとき、戸籍から読み解いた相続関係の内容を一覧図にしたものも作成して、一緒に提出する必要があります。
つまり、どんな方法を使っても必ず一回は戸籍集めをして、その戸籍の内容から相続関係を読み解くことが必要になるということです。