
相続手続きを進める上で、亡くなった方の戸籍を集めて相続人を確認する作業は欠かせません。戸籍を取得していくと、途中で見た目の異なる古い戸籍が出てきて驚くことがあります。
相続を正しく行うためには、亡くなった方の出生から死亡まで途切れることなく戸籍を揃える必要があります。
しかし、戸籍の法律や様式は明治時代から現在までに何度も改正されてきました。
そのため、ひとりの一生分の戸籍を集めると、年代によって全く違う形式の戸籍が混ざることになります。
古い戸籍は手書きで書かれており、現代人には読みづらいことも多いため、あらかじめ歴史や特徴を知っておくと安心です。
なお、令和6年(2024年)3月から「広域交付制度」が始まりました。
これにより、本籍地が遠方にあっても、配偶者や親子などの関係であれば最寄りの役所でまとめて戸籍を取得できるようになりました。
ただし、兄弟姉妹や甥姪の戸籍を取得する場合や、税理士などの専門家に代理取得を依頼する場合は、この広域交付制度を利用できません。
その場合は、従来どおりそれぞれの本籍地へ請求を行う必要があるためご注意ください。
さらに、コンピューター化されていない一部の古い戸籍などは、広域交付の対象外となることがあります。
そのような戸籍が必要な場合は、本籍地のある役所へ直接請求する必要があります。
戸籍は時代ごとに細かく分けられます。
これらを大きく分類すると、「昭和23年式戸籍より前」と「それ以降」の2つのグループに分けることができます。
昭和23年以降の戸籍は、ひと組の夫婦とその未婚の子供をひとつの単位として作られています。
子供が結婚すると親の戸籍から抜けて新しい戸籍を作るため、ひとつの戸籍に入っている人数が少ないのが特徴です。
一方で、昭和23年より前に作られた戸籍は、昔の「家制度」というルールに基づいて作られていました。
当時は「戸主」を中心に家全体をひとつの戸籍にまとめていたため、祖父母や孫、兄弟の家族などが同じ戸籍にたくさん記載されています。
現在、私たちが役所で取得できる一番古い戸籍は、原則として「明治19年式戸籍」以降のものとなっています。
昔の戸籍は現在のものと違って、すべて手書きで記録されていました。
達筆すぎて読めなかったり、インクが薄れて文字が消えかかっていたりして、ご自身では内容を解読できないケースもよくあります。
自分で読み解くのが難しい場合は、相続税の申告を依頼する税理士や専門家に解読をお願いするのが確実です。
(戸籍の読み方については、【相続初心者向け】戸籍謄本の読み方を徹底解説!古い原戸籍でつまずかないための基礎知識もご参照ください。)
ここでは、それぞれの時代に作られた戸籍の特徴を順番にご紹介します。
①明治5年式戸籍(壬申戸籍)
(明治5年2月1日~明治19年10月15日)
歴史的な背景から身分に関する不適切な記載が含まれているため、現在は行政によって厳重に封印されています。
そのため、原則として一般の人が取得したり閲覧したりすることは一切できません。
②明治19年式戸籍
(明治19年10月16日~明治31年7月15日)
文字が手書きであるため、つぶれていて解読が非常に困難なことも珍しくありません。
最近では取得する機会も減っていますが、ご長寿だった方の相続や、代襲相続などで昔の世代まで遡る必要がある場合には、取得することがあります。
③明治31年式戸籍
(明治31年7月16日~大正3年12月31日)
基本的には次の大正4年式戸籍と似ていますが、戸主になった理由やその年月日を記載する専用の欄があるのが特徴です。
④大正4年式戸籍
(大正4年1月1日~昭和22年12月31日)
家制度が強く機能していた時代のものであるため、夫婦や子供だけでなく、他の親族も多数記載されています。
家の代表者である「戸主」の欄が明確に設けられているのも、この戸籍の大きな特徴です。
⑤昭和23年式戸籍(現在のルールのベース)
(昭和23年1月1日~現在)
現在の戸籍の基本ルールである「夫婦と未婚の子」という単位のベースとなった戸籍です。
書かれている内容自体は現代の戸籍とほぼ同じですが、コンピューター化される前の手書きや縦書きで作られたものを指します。
法律上の手続きの関係で、この形式に切り替わったのは昭和33年4月1日以降からとなっています。
この戸籍に新しく書き換えられる前の古い戸籍のことを「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」と呼びます。
⑥平成6年式戸籍(戸籍のコンピューター処理化)
現在、私たちが役所で戸籍の発行をお願いすると、基本的にはこの横書きで印字された大変読みやすいものが発行されます。
これまでの縦書きから、見やすい横書きの様式に変更されました。
電子データ化されているため、正式名称は戸籍謄本ではなく「戸籍全部事項証明書」と呼ばれます。
なお、電子化されていない古い形式のままのものは、これまで通り「戸籍謄本」と呼ばれます。
⑦令和の戸籍法改正(ふりがなの追加)
(令和7年5月26日~)
2025年(令和7年)5月26日から施行された戸籍法改正により、戸籍に「氏名のふりがな」が追加されることになりました。
これまで戸籍には漢字のみが記載されていましたが、この改正により読み仮名が公証されるようになります。
現在、順次ふりがなの登録が進められており、戸籍の様式における歴史的な新しい変化となっています。