戸籍の様式は何度か改正されている
相続人の確認作業などにおいて、戸籍を追っていく必要があります。
その時に、取得した戸籍の様式が異なっている時があります。
理由は、戸籍は明治以降これまで何度か改製され、様式が改められてきたからです。
なので、被相続人の出生から死亡時までの連続した戸籍を取得した時に、古いものですと、随分見づらい戸籍もあります。
大別すると戸籍は2種類
戸籍は下記に記載した6種類ありますが、大きく分けると昭和23年式戸籍以降とその前の戸籍の二つに分けられます。
昭和23年式戸籍以降は、戸籍に記録される者は、夫婦とその子供(未婚の者)となります。
なので、祖父母と孫が同じ戸籍に入りません。また、子供が結婚すると、父母の戸籍から外れます。
このため在籍者が少ないという特徴があります。
逆に昭和23年式戸籍より前の戸籍は、家制度に基づいて戸籍が作成されていたため、祖父母と孫が同じ戸籍に記録されるなど、在籍者が多いのが特徴です。
なお、現在役所で発行してもらえる戸籍は明治19年式戸籍以降のものとなります。
それぞれの戸籍の特徴
前提として、古い戸籍は現在の戸籍(平成6年式戸籍)と違い手書きです。そのため戸籍を読み取れないことも珍しくありません。(なお、戸籍の読み方については、戸籍の読み方を徹底解説!解読不能な場合は専門家に任せように記載)
そのような場合は、相続税の申告をお願いしている会計事務所などに、読み取りを依頼するのが一般的です。
以下は各戸籍謄本の特徴です。
①明治5年式戸籍
(明治5年2月1日~明治19年10月15日)
- 戸単位
- 日本で最初の全国統―様式の戸籍
②明治19年式戸籍
(明治19年10月16日~明治31年7月15日)
- 家単位
- 直系・傍系の親族を1つの戸籍に記載
手書きの文字で、文字がつぶれており解読不能であることも珍しくありません。
現在、この戸籍を取得するということはほとんどありません。
③明治31年式戸籍
(明治31年7月16日~大正3年12月31日)
- 家単位
- 戸籍簿とは別に身分登記簿が設けられている
下記の大正4年式戸籍とほぼ同じですが、明治31年式戸籍には戸主ト為リタル原因及ヒ年月日の欄があるのが特徴です。
➃大正4年式戸籍
(大正4年1月1日~昭和22年12月31日)
- 身分登記簿が廃止
- 戸籍簿に一本化
大正4年式戸籍は、家制度があった時代に作成されていた戸籍です。
なので、夫婦と子供以外の親族も記載されています。
また、家制度は戸主が家の代表なので、戸主欄があるという特徴があります。
➄昭和23年式戸籍(=現在の戸籍となります。)
(昭和23年1月1日~現在)
- 夫婦親子の単位
- この戸籍に改製される前の戸籍が改製原戸籍
- 手続き上の関係で、改製戸籍は昭和33年4月1日以降から
昭和23年式戸籍は、コンピュータ化される前の戸籍です。
ただ、内容そのものは平成6年式と同様です。
⑥平成6年式戸籍(戸籍のコンピューター処理化)
- 縦書き様式から横書き様式に
- 電子化されている → 記載事項証明書と呼ばれる
- 電子化されていない場合 → 謄本と呼ばれる
現在、戸籍という場合、一般的にはこの平成6年式戸籍を指す場合が多いです。
役所で単純に戸籍を依頼すると、この平成6年式戸籍が発行されます。
平成6年式戸籍は、コンピュータ化されてから発行されている戸籍なので、横書きで読みやすいのが特徴です。
動画で解説
戸籍の歴史や特徴について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。