
2024年4月からの相続登記義務化に伴い、「法定相続情報証明制度」の重要性がますます高まっています。被相続人が亡くなった後、管轄の法務局へ必要書類を提出することで、その後の様々な相続手続きをスムーズに進めることができます。本記事では、初心者の方に向けて申請のステップや集めるべき書類を解説します。
法定相続情報証明制度を利用するには、相続開始後(被相続人の死亡後)に、管轄の法務局へ「申出書」と必要書類を提出します。
生前のうちに「将来のために申請しておく」といったことはできませんのでご注意ください。また、窓口に直接出向くほか、郵送での申請や一覧図の交付請求も可能です。
提出先となる管轄の法務局は、以下の4つのうち、いずれか都合の良い場所を選択できます。
申出書には、住民票などの公文書に記載されている通りの氏名や住所を正確に記入します。申出書の詳しい書き方については、法務局のホームページにある申出書の記入例
を参考にしてください。
手続きには、申出書のほかに「誰が相続人なのか」を公的に証明するための書類を集める必要があります。
基本的な提出書類は以下の4点です。
1の「出生から死亡までの戸籍」は、被相続人の死亡の事実や、他に相続人がいないか(隠し子などがいないか)を確認するために必ず必要です。
※2024年3月より「戸籍謄本の広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村役場で全国の戸籍をまとめて取得できるようになり、大変便利になりました。
3の相続人全員の戸籍については、全員が現在生きていることを証明するために必要です。
4の申出人の本人確認書類としては、以下のいずれかを用意します。
免許証やマイナンバーカードのコピーを提出する場合は、余白に「原本と相違ありません」と記入し、申出人が署名または記名押印する必要があります。
効率を考えると、役所で戸籍を取得するついでに「住民票」や「戸籍の附票」を取っておくのがおすすめです。
ちなみに集めた戸籍謄本などの原本は、手続き完了後に法務局からすべて返却(原本還付)してもらえます。そのため、その後の金融機関などの手続きで使い回すことが可能です。
ご家族の状況や、一覧図に記載する内容によっては、追加の書類が求められます。
法定相続情報一覧図には、相続人の「氏名」「生年月日」「続柄」を必ず記載しますが、「住所」の記載は任意です。
住所も記載しておくと、不動産の相続登記や銀行手続きで住民票の提出を省略できるメリットがあるため、各相続人の住民票を用意して記載しておくことをおすすめします。
また、相続人が兄弟姉妹や甥姪になる場合(第2順位・第3順位の相続)や、本来の相続人がすでに亡くなっている代襲相続の場合は、先順位の人が亡くなっていることを証明する戸籍等も追加で必要になります。
状況が複雑な場合は、事前に法務局や専門家に確認しましょう。
戸籍という秘匿性の高い個人情報を扱うため、この制度の申出や一覧図の交付請求ができるのは、原則として相続人本人に限られます。
ただし、手続きが煩雑な場合は、以下のような親族や専門家に代理を依頼することも可能です。

また、相続人が未成年者や認知症などでご自身で手続きできない場合は、法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人など)が代わりに手続きを行います。
その際は、法定代理人であることを証明する書類(戸籍や登記事項証明書など)が必要です。
なお、法定相続情報一覧図の写しは、申請した年の翌年から5年間であれば、管轄の法務局で無料で再交付を受けることができます。
法定相続情報証明制度は、被相続人(亡くなった方)1人につき、1つの申請を行うルールになっています。
例えば、父親が亡くなり、その相続手続きが終わらないうちに母親も亡くなってしまった(数次相続)とします。
この場合、子供が「両親の相続手続きを1回でまとめて申請しよう」ということはできません。
父親の相続についての申出・一覧図作成と、母親の相続についての申出・一覧図作成を、それぞれ別々に行う必要があります。