相続には様々な費用が発生
相続が発生すると、主に以下ような費用がかかります。
- 墓地
- 仏壇
- 葬式費用
- 香典返し
- 祭祀の費用
そして、相続税の申告が必要だったり、不動産を所有している。物納やら遺産分割協議で揉めるなどした場合には、以下のような費用もかかってきます。
- 税理士報酬(相続相談料や申告料)
- 弁護士費用(相続人間揉めた場合)
- 測量費用(物納や土地評価などをする際に必要)
- 登記費用(登録免許税やら司法書士への手続き報酬など)
物納するためにも費用がかかる?
相続税の納税方法に物納制度というものがあります。物納制度についての詳しい内容は相続の物納制度の利用は簡単ではない!その仕組みや手続方法に記載しています。
物納は相続税の納税資金に困ってするものなのですが、この物納をする際にも費用がかかる場合があります。
それは土地の測量費用です。土地を物納する場合、土地の測量が必要です。(ちなみに、測量済みでない土地は物納不可です。)
そして、土地の形状などにもより一概には言えませんが、大体安くても200万円か~300万円はかかります。
相続税対策を被相続人の生前にすることの意味
上述のように相続税の納税資金に困り物納を選択したとしても、物納するために費用がかかったりします。また、
- 税理士への支払
- 弁護士への支払
- 司法書士への支払
- 測量費用
などは、費用として相続財産から控除出来ません(債務控除出来ません)。
また、墓地や仏壇は、生前に被相続人(故人)が購入していれば、被相続人の現預金の減少を意味し、それは相続財産の減少を意味します。
そして細かい話ですが、相続相談費用なども被相続人の生存中に行い、相談料などを被相続人が負担すれば、それも被相続人の現預金の減少となります。
被相続人が亡くなってから、相続相談などをして費用が発生しても、それは相続人の自己負担となります。
そして、被相続人の生存中に相続税対策をし、相続税のシミュレーションの結果、土地を物納しなくてはならない。
その場合、被相続人の生存中に被相続人の現預金で土地の測量をすれば、
- 被相続人の現預金の減少に伴う相続税の減少
- 相続人が土地の測量を自己負担する必要がなくなる
といったメリットがあります。
相続税対策を被相続人の生前にすると、このようなメリットが発生する可能性もあります。
遺産分割で揉めそうな場合には、被相続人の生前に弁護士へ依頼し、その費用負担を被相続人が行えば、これも被相続人の財産の減少になり、しいては相続税対策になります。
また、相続財産に古い建物などがあった場合には、その古い建物を相続し、相続した方が近い将来に修繕費用を負担することが明白な場合には、被相続人の生存中に被相続人が修繕費用を負担し、修繕するのも相続税対策となります。
相続税対策を早く始めることは、相続税以外の費用も抑える効果があります。さらに被相続人が生存中に、本来かかるであろう相続税以外の費用も負担すれば、それだけ相続税の節税にもなります。
相続が発生しそうだ。その場合には、今すぐ相続税対策を始めましょう。相続税対策を始めること自体が相続税の節税に繋がります。
バカにならない相続費用
相続費用について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
そもそも、相続によって、どのような費用がかかるのか?ということを、詳しくは知らない方が多いように感じます。
そして、いざ相続が発生すると、様々なところで多額の費用がかかることに、驚かれてしまうケースも少なくありません。
ところが、こうした費用の中には生前に負担できるものがあります。
もし、ご自身の相続後に発生する費用の一部を、生前のうちに支払っておけば、相続発生後の遺族の負担が減少します。
また、生前にこうした費用を、預金などから負担することで、その分だけ相続財産も減らすことになりますから、結果的に、相続税も安くなるというわけです。
では、どのような費用を生前に支払うことができるかのか、いくつか例を見てみましょう。
まずは、お墓やお仏壇の購入費用です。
これは、相続発生後に遺族の方が準備するものという気がしますが、何もそうしたルールがあるわけではありません。
もし生前に、ご自身のお墓やお仏壇を購入すれば、その分、相続税は安くなります。
どういうことかと申しますと、お墓やお仏壇は相続税の非課税財産になるからです。
わかりやすいように、ここでは簡単な例でご説明いたします。
たとえば、預金が4,000万円あるお父さまが、生前に自身のお墓を300万円で購入したとします。
このことによって、財産は預金3,700万円と300万円のお墓ということになります。
しかし、お墓は相続税の非課税財産なので、相続税の計算には含まれません。
したがって、相続税の対象になる預金は3,700万円となります。
逆に、このお墓の購入がなければ、遺されたご家族は4,000万円に対して計算された相続税を負担し、なおかつ、自分たちでお墓の購入費を負担しなければなりません。
また、非課税財産の購入以外にも、相続によって発生するさまざまな費用のうち、生前に支払うことができるものがあります。
たとえば、税理士への相談料です。
生前に相続税対策として支払った相談料は、ご自身の財産から支払うことができます。
相続発生後は、遺族に様々な負担が生じます。
葬儀にともなって発生する費用や、税理士に対する相続税の申告料、不動産の登記費用、遺産分割でもめたときの弁護士費用など、必ずしもかかるものばかりではありませんが、逆に思わぬ高額な報酬が必要となる場合もあります。
また、見落としてはいけないのが、土地の測量費用です。
相続税の物納が必要となる場合、土地の測量をしなくてはなりません。
測量済みでない土地は、物納が出来ないからです。
そして、この測量費も結構な金額となります。
このような理由から、相続発生後にかかる費用で、相続前に支払えるものは、生前に支払ってしまう、というのがベストです。
結果、それが相続税対策にもつながります。
後のことはみんなでうまくやってくれるだろう、と決めてかかっていると、遺されたご家族の負担が増えてしまいます。
ぜひ、ご家族に一番喜ばれる相続の仕方を、
相続の専門家に相談してみてください。