ジュニアNISAを活用した生前贈与のメリット
ジュニアNISAでの贈与は、暦年贈与という形で相続税対策になります。
また、贈与した資金の使い道を限定できるなどメリットもあります。
ただし、ジュニアNISAで80万円 + 110万円(暦年贈与の非課税額)の贈与をした場合、80万円(190万円-110万円)は贈与税の対象になります。
ジュニアNISAは贈与税が非課税ではないので注意しましょう。
NISAとは
NISAとはニーサと読み、2014年1月1日にスタートした【少額投資非課税制度】のことです。
毎年120万円(2014年分、2015年分は100万円)までの株式投資や投資信託による売却益や配当金等が、2023年12月31日までの10年間の間で、最大5年間非課税(本来は20.315%)になる優遇制度です。
例えば120万円をNISAで投資して、その後2倍に増えた所で売却した場合、120万円儲かったことになります。
本来であれば、この売却益には税金が課されるのですが、NISAで投資した場合には、この売却益120万円は非課税になります。
ただし、逆に損をした場合には、NISA以外での売却益・配当との損益通算は出来ません。
また、投資総額は「5年 × 毎年120万円 = 600万円」で、それ以上の金額は非課税にはなりません。
売却した場合でも、非課税枠の再利用をすることは出来ません。
ジュニアNISAとは
上記のNISAが使えるのは20歳以上です。
そして、20歳未満でも使えるジュニアNISAという新制度が2016年に開始されました。
NISAとジュニアNISAの違いは、非課税枠の金額が異なります。
- NISAは毎年120万円で5年間の累計額では600万円
- ジュニアNISAは毎年80万円で5年間の累計額では400万円
そして、ジュニアNISAの概要は以下のようになります。
- 対象年齢0~19歳
- 非課税の対象:上場株式等の売却益、配当金等
- 年間の非課税金額:80万円
- 非課税期間:最大で5年間
- 非課税金額の総額:400万円
- 期間:2016年~2023年の8年間
- 口座の管理:親権者
ジュニアNISAは贈与税が非課税ではない
ジュニアNISAは親(祖父母)が贈与して、子(孫)名義で口座を開設するのが一般的です。
2016年から2023年までの8年間の間に、最大で5年間、毎年80万円を非課税で贈与できます。
ただし、贈与税がかからないといっても、もともと暦年贈与(1年ごとの贈与)には「110万円の非課税枠」があります。
80万円が上限のジュニアNISAの贈与の場合、この非課税110万の枠内の金額です。
ジュニアNISAの贈与が非課税というのは、この「110万の枠内の金額で非課税」であり、例えばジュニアNISAで80万円贈与した場合には、残りの非課税枠は30万円(110万円-80万円)となります。
ジュニアNISAの贈与は相続税対策になる、と思っている方もいらっしゃいますが、他なる暦年贈与の非課税枠内で贈与をしているに過ぎません。
確かに暦年贈与は相続税対策になるので、ジュニアNISAの贈与も相続税対策になります。
ただ、ジュニアNISAの贈与は、以下のような暦年贈与の非課税枠とは別にある、何か特別な贈与というわけではありません。
- 教育資金一括贈与(1,500万円までの一括贈与が非課税)
- 結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円までの一括贈与が非課税)
- 子供や孫への住宅取得資金の贈与(最大3,000万までの一括贈与が非課税)
あくまでもジュニアNISAでの非課税は、投資によって得た利益(譲渡益)や配当が非課税になるということです。
そして、投資なので逆に損をする場合もあります。
また、相続開始前3年以内に行われたジュニアNISAの贈与は、通常の贈与と同じように相続財産に加算されます。
さらに、子(孫)本人が18歳になるまでに(18歳未満で)口座からお金を引き出すと、通常通りの課税がされます。
ジュニアNISAについて動画で解説
ジュニアNISAを活用した生前贈与のメリットについて、都心綜合会計事務所の税理士・天野敬祐が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
まず、NISAとは、2014年から始まった少額投資非課税制度のことです。
NISA専用口座を使い、株や投資信託への投資を行って売却益や配当金を得ても、
その売却益や配当金は非課税になります。
通常の証券口座では、約20%の税金がかかり、それが差し引かれた金額が振り込まれます。
たとえば100万円の利益が出た場合、通常の口座に振り込まれる利益は約80万円となります。
これがNISA口座の場合は、そのまま100万円が振り込まれることになります。
ただし、非課税にできるのは年間120万円の投資額が上限で、運用は5年間が上限となります。
それでは本題のジュニアNISAについてお話しをしていきます。
ジュニアNISAとは、2016年に開始された制度で、20歳未満の方が開設できるNISA口座のことです。
ジュニアNISAといっても、子どもが年間80万円の投資額を用意するわけではありません。
通常は、親や祖父母などが子どもの将来のために、子ども名義でNISA口座を開設し、年間80万円を限度に入金することになるかと思います。
ジュニアNISAの場合も、NISAと同じで、その売却益や配当金が非課税になります。
非課税になるのは年間80万円の投資額が上限で、運用は5年間が上限です。
売却益や配当金が非課税になるのはNISAと同じです。
ところがジュニアNISAについては、贈与税も非課税と認識されるケースがあります。
結論からいうと、ジュニアNISAには贈与税がかかります。
贈与税は1年間に110万円の基礎控除額があります。
つまり受け取った財産の額が110万円以下であれば、贈与税を支払わずに財産を移転させることができます。
ジュニアNISAでは年間80万円までが非課税枠ですから、1年に80万円であれば非課税範囲内で贈与をすることができます。
しかしこれはジュニアNISAが非課税なのではなく、あくまでも贈与税の基礎控除額の範囲内だからです。
もしジュニアNISAで80万円、それとは別に現金70万円の贈与を受けていた場合は、150万円の贈与を受けているため、基礎控除額との差額の40万円には贈与税がかかります。
つまり、ジュニアNISAは贈与税の対象です。非課税ではありません。
また、ジュニアNISAの口座名義人が18歳になるまでは、自由に引き出しができません。
もし18歳未満でジュニアNISA口座から引き出しを行うと、それまで非課税となっていた利益に税金がかかります。
また、ジュニアNISA口座は廃止となります。
デメリットもあるジュニアNISAですが、それでも、利益や配当金が非課税で受け取れますから、贈与税の基礎控除額を活用して贈与することにはメリットがあります。
生前贈与のご相談なら、都心綜合会計事務所にお任せください。