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住宅取得資金の贈与税が非課税となる特例の概要と注意点

住宅取得資金の贈与税の非課税特例は、贈与した資金の使い道が明確であり、早期の資産移転を進める上でメリットの大きい制度です。

ただし、子供に住宅を持たせるということは、将来発生する相続において「小規模宅地等の特例(家なき子特例など)」が使えなくなる可能性が高くなるというデメリットもはらんでいます。

小規模宅地等の評価減についての詳しい内容は、小規模宅地等の特例は8割も評価減が可能な相続税対策の王様に記載しています。

相続税対策全体の観点からシミュレーションした場合、住宅取得資金の特例は「あえて使わないほうが賢明」というケースもありますので、慎重な判断が必要です。

最大1,000万円まで非課税(令和8年12月31日まで延長)

生前贈与を活用した有効な対策として、「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」があります。

  • 教育資金一括贈与(※現行制度上の期限は令和8年/2026年3月31日となっており、延長されずに終了することが決定しています)
  • 結婚・子育て資金の一括贈与

これらと並び、次世代への資産移転をスムーズに行うための代表的な制度です。

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本特例は法改正により延長され、現在の適用期限は令和8年(2026年)12月31日までとなっています。

非課税となる限度額は、取得する住宅の性能によって以下の2種類に分かれます。

住宅の種類非課税限度額
省エネ等良質な住宅家屋
(以下のいずれかの基準を満たし、証明書等を提出できる住宅)
  • ① 省エネ基準(断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6以上など)
  • ② 耐震基準(耐震等級2以上、または免震建築物)
  • ③ バリアフリー基準(高齢者等配慮対策等級3以上)

※新築の時期や建築確認日によって旧基準(等級4以上など)で認められる経過措置があります。要件が複雑なため、必ず事前にハウスメーカーや国土交通省のHP等で適用可否をご確認ください。

1,000万円
一般住宅家屋
(上記以外の住宅)
500万円

非課税になるための4つの条件

子供や孫のマイホーム購入資金を援助すれば無条件で非課税になるわけではありません。

大きく分けて、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 贈与をする人の条件
  2. 贈与を受ける人の条件(年齢や所得要件)
  3. 対象となる住宅用建物の条件(広さや性能)
  4. 手続きの条件(贈与税申告の期限)

贈与をする人の条件

贈与者が「直系尊属(父母または祖父母など)」である必要があります。

法律上の養子に対する贈与でも適用要件を満たします。

養子
養子
養子に対する贈与でも大丈夫です。

配偶者の父母や祖父母(義理の父母など)からの贈与は「直系尊属」にあたらないため、対象外となります。

※過去の利用制限と限度額について:旧制度(平成21年分〜令和5年分)でこの特例の適用を既に受けている場合、原則として再度利用することはできません(災害等の一定の例外を除く)。また、現行制度(令和6年以降)で既に非課税の適用を受けた金額がある場合は、非課税限度額からその分を差し引いた残額が今年の限度額となります。

贈与を受ける人の条件(年齢・所得)

贈与を受ける側(受贈者)に関する主な条件は以下の通りです。

  • 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(※原則。ただし、一定の要件を満たせば国外居住でも対象になり得るため、海外在住の場合は個別確認が必要です)
  • 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること(※民法改正により20歳から引き下げられました)
  • 贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
    (※ただし、取得する住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下である必要があります)
  • 贈与の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて新築等をすること
  • 贈与の翌年3月15日までにその家屋に居住する、または遅滞なく居住することが確実であること
  • 【重要】贈与の翌年3月15日までに居住できない場合でも、遅くとも「翌年12月31日」までに居住していない場合は特例の適用が取り消され、修正申告と納税が必要になります。

対象となる住宅用建物の条件

対象となるのは、住宅用家屋の「新築・取得」または「増改築等」にかかる費用です。

注意点として、親が所有している不動産そのものを贈与しても対象になりません。あくまで「住宅を取得するための金銭」の贈与が対象です。また、すでに組んでいる住宅ローンの返済資金として金銭を贈与した場合も特例の対象外です。

※特別な関係者からの取得は対象外:配偶者や親族などの「特別な関係がある人」から住宅を購入する場合や、これらの人との請負契約で家を建てる場合は、特例の対象になりません。

※土地の取得に関する注意:住宅用の「土地(敷地)」の購入資金に充てることも可能ですが、その場合、受贈者自身が「その土地に建つ家屋の所有権(共有持分を含む)」を持つことが必須条件です(土地だけ買って家屋は親名義、などは不可)。

不動産の贈与
不動産の贈与
不動産そのものの贈与は対象外です。

新築・取得に関する主な条件

  • 日本国内にある住宅用家屋であること
  • 新築・取得する家屋の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつその家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること
    (※前述の通り、40㎡以上50㎡未満の場合は受贈者の所得要件が1,000万円以下に厳格化されます)
  • 中古住宅の場合、昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたもの(新耐震基準適合)、または取得日までに一定の耐震基準に適合することが証明されたものであること(※取得時には基準を満たしていなくても、取得後に耐震改修を行い、贈与の翌年3月15日までに基準に適合したことを証明できる場合も含みます)

増改築に関する主な条件

  • 増改築等の工事費用が100万円以上であること
  • 工事費用の2分の1以上が、自身の居住用部分の工事費用であること
  • 増改築等後の床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 一定の工事に該当することについて、「増改築等工事証明書」などの書類で証明されること

手続きの条件(申告必須)

この特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄の税務署へ贈与税の申告書および必要な添付書類を提出する必要があります。

特例を適用した結果、納める贈与税が「0円」になった場合でも、期間内に申告手続きを行うことが必須条件です。申告を忘れると特例が認められず、多額の贈与税が課税される恐れがあるため十分に注意しましょう。

0円
0円
贈与税が0円になる場合でも、申告書の提出が特例適用の必須条件です。

住宅取得資金の贈与特例は「受贈者単位」で計算する

よくある誤解として、「父から1,000万円、母から1,000万円をもらったら、合計2,000万円まで非課税になるのでは?」というものがあります。

この非課税特例の限度額は、贈与をする人(父や母)ごとではなく、贈与を受ける人(受贈者)一人当たりの合計金額で判定されます。

合計
合計
もらった金額の「合計額」が非課税限度額に収まるかで判断します。

例えば、限度額1,000万円の枠に対して、父母から合わせて1,500万円をもらった場合、枠を超えた「500万円」部分については、通常の暦年課税として計算され、基礎控除(110万円)を差し引いた上で贈与税が課税されます(※同一年内に他の贈与がない前提の計算です)。

また、相続時精算課税制度を併用することを選択した場合には、非課税枠を超えた部分について同制度の適用を受ける形となります。通常、同制度は贈与者が60歳以上であることが条件ですが、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」を利用することで、親や祖父母が60歳未満であっても相続時精算課税を利用できるという大きなメリットがあります。

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