住宅取得資金の贈与税が非課税となる条件や注意点
住宅取得資金の贈与税の非課税は相続税対策として有効というのもありますが、贈与した資金の使い道が明確であるのもメリットと言えます。
ただし、子供に住宅を持たせるということは、将来小規模宅地等の評価減が使えなくなる可能性が高くなります。
小規模宅地等の評価減についての詳しい内容は、小規模宅地等の特例は8割も評価減が可能な相続税対策の王様に記載しています。
相続税対策の観点からのみ見た場合、住宅取得資金の贈与税の非課税は「使わないほうが賢明」という場合もあります。
最大3000万円まで非課税
住宅取得資金の贈与税の非課税というものがあります。
- 教育資金一括贈与
- 結婚・子育て資金の一括贈与
と並び、こちらも生前贈与の相続税対策として有効です。
非課税となる金額は、以下のようになります。
➀住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
➀以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~令和2年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
非課税になる条件
ただ、子供の新居のための贈与なら必ず(最大で3000万まで)非課税になるのか?というと、そういうわけではありません。
大きく分けて、以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 贈与をする人の条件
- 贈与を受ける人の条件
- 対象となる住宅用建物の条件
- 手続きの条件
また、住宅取得資金の贈与税の非課税が利用できる期間は、平成27年1月1日から令和3年12月31日までです。
贈与をする人の条件
贈与者が「父母または祖父母」である必要があります。
また、養子に対する贈与でも大丈夫です(条件を満たします)。
ただし、義理の父母や祖父母からの贈与は対象外となります。
贈与を受ける人の条件
贈与を受ける人の条件は、以下のようになります。
- 贈与時に日本に住所がある
- 過去に旧非課税制度の適用を受けていない
- 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上
- 贈与を受けた年の所得金額が2000万円以下
- 贈与の翌年3月15日までにその家屋に居住する(又は居住が確実)
- 贈与の翌年3月15日までに取得資金で家屋(敷地可)を新築・取得している
対象となる住宅用建物の条件
対象となる住宅用建物の条件は、大きく分けて住宅用建物の
- 新築もしくは取得
- 増改築
の2つあります。
注意点としては、不動産そのものの贈与は対象となりません。
あくまでも現金の贈与が対象です。
また、贈与される側がローンを組んで住宅を購入した場合などの、そのローン返済のための金銭の贈与も対象外です。
新築もしくは取得の条件
- 住宅用建物の新築である
- 親族等ではない不動産会社などからの住宅提供である
- 中古住宅の場合は、築20年以内(耐火建築物は25年以内)である
- 新築・中古住宅の取得であり、住宅用家屋とともに敷地を取得する場合には、その敷地も含む
- 新築・取得する家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、床面積の2分の1以上が居住用である
増改築の条件
- 工事費用が100万円以上
- 増改築等後の床面積の2分の1以上が居住用である
- 居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上
- 贈与を受ける人の居住の用に供する日本国内にある家屋である
- 増改築後の床面積が50㎡以上240㎡以下の一定の増改築等である
また、増改築等に係る工事が、一定の工事に該当する(省エネ・耐震等基準に該当する住宅家屋に該当する)ことについて、一定の書類により証明されている必要があります。
手続きの条件
贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告が必要です。
たとえ贈与税が0円でも、申告することが住宅取得資金の贈与税の非課税の条件となりますので、必ず申告しましょう。
住宅取得資金の贈与税の非課税は受贈者単位
注意点として、父・母の両方から3000万円ずつ贈与された。
この場合、2人の合計2400万円が非課税?
住宅取得資金の贈与税の非課税は受贈者単位です。
なので、贈与された側の合計金額で判断します。
合計金額が3000万円を超えているようであれば、その「超えている部分」は暦年贈与の対象となってきます。
また、もしも相続時精算課税制度を選択している場合には、そちらの対象になってきます。