生活費や教育費などは贈与税がかからない非課税財産

贈与税には贈与税の「特例で非課税になるもの」と、そもそも贈与しても贈与税がかからない「非課税財産」があります。

以下のようなものが「贈与税の非課税財産」となります。

  1. 法人からの贈与財産
  2. 扶養義務者からの生活費等
  3. 通常必要と認められる香典等
  4. 特定公益信託から受ける金品等
  5. 特定障害者が受ける信託受益権
  6. 公益事業者が取得した公益財産等
  7. 公職選挙の選挙運動で受けた金品
  8. 心身障害者共済制度に基づく給付金

なぜ上記のようなものは、贈与税が非課税なのか?

それは社会通念上や国民感情、社会政策などを考慮しているためです。

国民感情
国民感情
国民感情や社会政策上から、そもそも贈与税の対象とならないものがあります。

生活費に贈与税がかけられるのって、「おかしい」と大多数の人は思いますよね。

そういったものが贈与税の非課税になっているということです。

ただ、相続税対策の一環で、生活費として称して通常必要な生活費等と認めらるからどうか微妙な額を、毎年贈与するといったことはやめましょう。

税務調査の際に本当に生活費のためだけに贈与したのか?と指摘されやすい部分ですし、そもそも脱税もどきの行為は控えましょう。

法人からの贈与財産

意外と思われるかもしれませんが、法人から贈与されたものには贈与税がかかりません。

贈与税は「個人からの贈与を対象」としているからです。

よっしゃー。

父所有の会社からたくさん財産をもらえば無税だー!っと思うかもしれません。

残念。

法人から贈与されたものには、確かに贈与税はかかりませんが、一時所得として所得税がかかってきます。

扶養義務者からの生活費等

両親や祖父母、あるいは夫や妻などの配偶者から、生活費や教育費として贈与された。

そのような贈与は非課税です。

ただ注意点として、生活費として多額の資金を贈与してもらい、その資金で高価な宝石や不動産などを購入した場合には、贈与税の対象となってきます。

高価な宝石などを購入することは、「通常必要な生活費等」とは社会通念上言えません。

生活費や教育費の贈与でも、通常必要と認められるものだけが、贈与税の非課税となります。

生活費
生活費
通常必要と認められる生活費や教育費は贈与税の非課税

通常必要と認められる香典等

個人から受ける祝金・香典・見舞金などで、社会通念上相当と認められるものの贈与については、認められる金額の範囲内において、贈与税は非課税となります。

香典
香典
通常必要と認められる香典などは贈与税の非課税

なので、社会通念から逸脱した、多額の祝金・香典・見舞金などは贈与税の対象となります。

特定公益信託から受ける金品等

社会政策上の観点から、「一定の特定公益信託」から受ける以下のようなものには、贈与税はかかりません。

  • 学術の奨励
  • 学生などに対する学費の支給のための金品等
学費
学費
一定の特定公益信託からの学生などに対する、学費の支給のための金品等の贈与は非課税

特定障害者が受ける信託受益権

特定障害者が、特定障害者扶養信託契約に基づき受ける信託の受益権につき、「一定の申告書を提出した場合」には、以下の金額については贈与税がかかりません。

  1. 特別障害者の場合は価額が6,000万円まで
  2. 特別障害者以外の場合は価額が3,000万円まで
障害者
障害者
一定の申告書を提出した場合には、特定障害者が受ける信託受益権は非課税

公益事業者が取得した公益財産等

公益を目的とする事業を行う者(社会福祉事業など)が、「公益を目的とする事業のために使用することが確実」な贈与については、贈与税はかかりません。

社会福祉事業
社会福祉事業
公益を目的とする事業を行う者(社会福祉事業など)が、公益を目的とする事業のために使用することが確実な贈与については贈与税は非課税

公職選挙の選挙運動で受けた金品

選挙運動に関して、公職の候補者が贈与を受けた金品等は、「正規の報告」がされていれば、贈与税はかかりません。

選挙
選挙
選挙運動に関して、公職の候補者が贈与を受けた金品等は、正規の報告がされていれば贈与税は非課税

心身障害者共済制度に基づく給付金

条例の規定により地方公共団体が、精神または身体に障害のある人に関して支給する、給付金を受ける権利には贈与税はかかりません。

動画で解説

贈与をしても贈与税がかからない財産について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

贈与をしても贈与税がかからない財産

動画内容

生前贈与を行うには、贈与を受けた相手に、贈与税がかからないように、贈与を行うことがポイントです。

そのため、非課税で贈与できる特例や、毎年の基礎控除額を利用して、贈与を行う方法を活用するケースが多くなります。

ただし、贈与であれば何もかもが税金の対象になるわけではありません。

たとえば、子どもを育てるには、当然子どものためにお金を支払ったり、必要なお小遣いを渡したりします。

親は子どもを扶養する義務がありますから、当たり前のことです。

これに贈与税が発生したら、大変なことになってしまいます。

このような生活費や教育費としてのお金は、贈与税の非課税財産として、贈与税がかかりません。

今回は、贈与税がそもそもかからない、非課税財産には何があるのか、についてお話を致します。

贈与税がそもそもかからない非課税財産には、主に次のようなものがあります。

  • 法人からの贈与財産
  • 扶養義務者からの生活費等
  • 通常必要と認められる香典等
  • 特定公益信託から受ける金品等
  • 特定障害者が受ける信託受益権
  • 心身障害者共済制度に基づく給付金

などです。

特に後半は馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、一つずつ確認をしていきましょう。

まず1つ目の法人からの贈与です。

法人から個人に贈与を行った場合は、意外にも贈与税の対象になりません。

ただし、これは贈与税がかからない、というだけで、個人には所得税がかかりますし、贈与を受けたのが法人であれば、法人税が課税されることがあります。

贈与税はかからないけれど、何らかの税金はかかる、ということは知っておいてください。

2つ目の扶養義務者からの生活費等については、先程申し上げたとおりです。

ただし、生活費として多額の贈与をしてもらい、そのお金で宝石や不動産などを購入した場合には、贈与税の対象となる場合があります。

このあたりは金額の判断が難しいので、専門家に相談をして下さい。

3つ目は、通常必要と認められる香典等です。

社会的マナーである香典やお見舞金、お祝い金などを受け取って、贈与税を課税されたら大変です。

個人から受け取る香典、年末年始の贈答品、お祝い金やお見舞金などは、それが社会通念上相当と認められるものであれば、全て非課税となります。

ただし、明らかに多額なものなど、社会通念から逸脱したものは贈与税の対象です。

4つ目の特定公益信託から受ける金品等とは、奨学金の支給を目的とする特定公益信託などから、学生などが受け取った金銭を指します。

5つ目の、特定障害者が受ける信託受益権とは、障害者のご家族などが信託会社と契約して預けたお金を、障害者の方が使うことができる権利のことです。

障害者の方の生活費などを、信託会社に管理してもらうことが目的となります。

預けたお金は、ご家族から障害者の方への贈与になりますが、障害者の方の障害の等級などで、最大で6,000万円まで非課税で贈与することが可能です。

6つ目の、心身障害者共済制度に基づく給付金とは、精神や身体に障害をお持ちの方や、そのご家族に支給される給付金です。

社会政策上、このようなお金から税金が差し引かれてしまうのは、好ましくないと考えられるため、非課税となります。

このように、生活費や教育費のほか、社会政策や国民の感情から、贈与税には非課税となる財産が沢山あります。

非課税となる財産は沢山ある
非課税となる財産は沢山ある

生前贈与をお考えの方は、贈与税の非課税制度を検討される前に、そもそも、その贈与に税金がかかるのかどうか、という視点を持っていただければ幸いです。

今回お話したもの以外にも、贈与税が非課税になるものは沢山ございます。

生前贈与を始められる前に、ぜひ専門家にご相談ください。

そして、贈与税・相続税の申告、相続税対策や相続手続きのことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

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