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著しく低い価額での売却は「みなし贈与」の対象に

例えば、本来の時価が3,000万円の土地を、親が子供へ300万円で売却したとしましょう。

このケースでは、差額の2,700万円が、実質的に親から子供へ贈与されたものとして扱われます。

そして、この2,700万円に対して多額の贈与税が課せられてしまうのです。

このように、相場よりも著しく安い金額で財産を売買することを「低額譲渡」と呼びます。

また、時価との差額が実質的な贈与として扱われることを「みなし贈与」と言います。

みなし贈与
みなし贈与
低額譲渡の場合、時価との差額が贈与税の対象になります。

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みなし贈与とは?注意すべき6つのケース

低額譲渡によるみなし贈与において、贈与税の計算ベースとなるのは「時価-実際に売買した金額」です。

ここで使われる「時価」とは、土地や建物といった不動産であれば「通常の取引価額(市場の相場)」を指します。

一方で、不動産以外の財産については「相続税評価額」が時価として扱われます。

特に注意が必要なのは、不動産の時価を正しく判断することの難しさです。

インターネットなどで調べた大まかな相場額と、税務署が考える時価にはズレが生じやすいからです。

後からみなし贈与を指摘される落とし穴があるため、自己判断は危険です。

生前に少しでも財産を減らし、将来の相続税を安くしたいと考える方は少なくありません。

しかし、生前贈与では多額の税金がかかるからといって、破格の値段で売却する対策は税務署には通用しません。

破格の値段
破格の値段
超特価などの破格の値段で売却する相続税対策はできません。

安く購入した子供側に、思いもよらない多額の贈与税がかかるリスクがあるため注意が必要です。

さらに、2024年(令和6年)1月以降の税制改正により、新たな落とし穴も生まれました。

亡くなる前に行われた生前贈与を相続財産に足し戻す期間が、死亡前「3年」から「7年」へと段階的に延長されています。

みなし贈与もこのルールの対象になります。

高い贈与税を払ったうえで、もし親が7年以内に亡くなったら、結局その分も相続税の計算に足し戻されてしまいます。

なお、個人間の売買において、いくらからが「著しく低い価額」になるのか、法律で明確な「〇〇%引き」といった基準は設けられていません。

過去の裁判例などでは、時価の70%~80%程度の売買でも「著しく低い」と判断され、課税されたケースがあります。

そのため、親族間で不動産を売買する際は決して自己判断せず、事前に税理士などの専門家へ相談することが重要です。

注意!売却した親側にも所得税がかかる

低額譲渡が行われると、財産を安く購入した側に贈与税が発生します。

これは親族間の売買に限った話ではなく、赤の他人が相手であっても同様です。

さらに気をつけるべきなのは、財産を売却した側の税金です。

財産を売却した側は、その売却による利益(譲渡所得)に対して所得税がかかる可能性があります。

売却した側
売却した側
売却した側は譲渡所得として所得税の課税対象になります。

親族などの個人に対して売却した場合、譲渡所得を計算する際の収入金額は、実際に売却した価額となります。

先ほどの例で言えば、実際に売った300万円が収入として扱われます。

この300万円から、過去にその土地を買った時の金額(取得費)などを差し引き、利益が出る場合にのみ譲渡所得税がかかります。

ただし、先祖代々の土地などで過去に買った時の値段が分からないケースは実務上よくあります。

買った値段が不明な場合は、売却代金の5%を取得費として計算するルールがあります。

そのため、利益が出やすく税金がかかる可能性が高まります。

ここで多くの人が陥りやすい落とし穴が「マイホーム特例」の勘違いです。

居住用財産を売却して利益が出た場合、最大3,000万円まで控除できる特例を利用して税金をゼロにしようと考える方がいます。

しかし、この3,000万円の特別控除は、親子や夫婦などの間での売買では一切使うことができません。

同居・別居や生計の有無にかかわらず、適用は不可となります。

特例が使えると思い込んで親族間で売買し、後から多額の所得税を請求される失敗が多発しています。

また、売却する相手が自分の資産管理会社などの「法人」である場合はさらに危険です。

個人間とは異なり、法人への売却では「時価の2分の1未満」であれば低額譲渡になるという明確なルールが存在します。

法人に対して著しく低い金額で売却すると、実際の売買代金ではなく、本来の時価で売却したものとみなされます。

これを「みなし譲渡課税」と呼びます。

低額譲渡でも贈与税がかからない例外ケースと救済措置

原則としてみなし贈与の対象となる低額譲渡ですが、例外的に贈与税がかからないケースも存在します。

それは、やむを得ない事情があり、債務を返済することが困難である部分の金額についてです。

  • 受贈者(贈与された側)に借金などの債務があり、その返済が困難な状況であること。
  • その債務を返済するために、受贈者を扶養する義務がある親族から低額譲渡を受けたこと。

このようなケースでは、例外的に贈与があったものとはみなされません。

弁済困難
弁済困難
債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与税はかかりません。

また、親族間でどうしても不動産を譲渡したい場合の選択肢として「相続時精算課税制度」の活用も考えられます。

この制度を利用すると、累計2,500万円までの贈与については贈与税が非課税となり、目先の多額の税負担を避けることができます。

ただし、最終的には親が亡くなった際の相続税として精算されるため、税金が完全に免除されるわけではありません。

低額譲渡と贈与税の関係を動画で解説

低額譲渡と贈与税の関係について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

低額譲渡と贈与税の関係

動画内容

今回は低額譲渡と贈与税の関係について、お話をいたします。

財産を生前に贈与することは、相続税対策として有効な方法です。

しかし、年間110万円を超えて贈与を受けてしまうと、贈与を受けた人には、贈与税を支払う義務があります。

そこで、もしかしたらこう考える方がいらっしゃるかもしれません。

「それならタダで渡さずに1円でも払ってもらえば、贈与にならないんじゃないか」と。

しかし、残念ながらこの考えは誤りです。

もし通常の価額より著しく安い金額で財産を売った場合は、安くした価額の分だけ相手に贈与したものとみなされてしまいます。

つまり安くした価額に対して、贈与税がかかるということです。

このように財産を安い価額で販売することを低額譲渡といいます。

低額譲渡を行った場合、販売した価額とその財産の時価との差額に贈与税がかかります。

たとえば時価3,000万円の土地を300万円で販売した場合は、土地を受け取る側に2,700万円の贈与があったとみなされる、ということになります。

時価とは何の価額かというと、土地や家屋、構築物などの財産は通常取引されている価額のことで、これ以外の財産は相続税評価額のことになります。

時価がいくらか知りたい場合は専門家に相談しましょう。

ただし低額譲渡を行った場合でも、次のような場合には贈与税はかかりません。

低額譲渡された側に返済が困難な借金があり、かつ「その人を扶養する義務のある親族」からの低額譲渡である場合です。

このようなやむを得ない事情があれば、安い価額で販売したとしても、債務を弁済することが困難である部分の金額には贈与税はかかりません。

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