相続のことなら創業50年目の「税理士法人 都心綜合会計事務所」にお任せください

借金の肩代わりで贈与税が非課税になるケース

親族や親しい人が借金で困窮していると、見過ごすことができないという方は少なくありません。

借金
借金
子供や親しい身内などが借金で困っている

ですが、たとえ親子や兄弟であっても、年間110万円を超える資金援助には原則として贈与税が課せられます。

借金を肩代わりしてもらう行為は、「借金の支払いを免除してもらった」という経済的な利益を得たとみなされるからです。

しかし、借金をした本人に返済能力が完全にないなど、一定の条件を満たした場合に限り、全額非課税となる救済措置が設けられています。

財産がなく、返済見込みがない場合

まず、借金をした本人に預貯金などの財産が一切ないケースを見ていきましょう。

これは現在の状況だけでなく、将来の収入見込みを含めても、自力で借金を完済できる可能性が完全にゼロである状態を指します。

このように、客観的に見て財産が何もなく、どうやっても借金を返せない場合に限り、返済に充てるための援助は非課税として扱われます。

非課税
非課税
借金した当人に財産がまったくなく、借金を返済するためだけに贈与を受けた場合は、その贈与は全額非課税

税法上の「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」という状態を満たす必要があるということです。

たとえば、完全に無一文の子供が抱える1億円の借金を親が全額肩代わりしても、その1億円に対して贈与税は一切かかりません。

ただし、ここで注意したいのが、若くて健康であれば将来働いて返す能力があるとみなされる点です。

現在たまたま無職で貯金がゼロというだけでは、非課税ルールはほとんど認められないため、慎重な判断が求められます。

若干の財産がある場合

一方で、借金をした本人に預貯金や車、家などの財産がわずかでも残っている場合は計算が変わります。

たとえば、本人に1,000万円の財産があり、借金が1億円あるというケースで考えてみましょう。

この状況で親が1億円すべてを肩代わりしてあげたとしても、全額が非課税になるわけではありません。

本人が持っている1,000万円の財産については、自力で借金の返済に充てられる金額と税務署から判断されてしまいます。

そのため、肩代わりしてもらった1億円のうち、本人の財産と同じ1,000万円分は通常の贈与とみなされ、贈与税の対象になります。

自分の手持ち財産をすべて借金返済に充て、それでもどうしても足りない金額に対してのみ非課税ルールが適用される仕組みです。

借金を全額返済できるだけの財産を持っているのに肩代わりをしてもらった場合は、当然ながら全額が贈与税の課税対象となります。

贈与税の対象
贈与税の対象
借金を全額返済できる財産があるにもかかわらず贈与を受けた場合には、その贈与は全額、贈与税の対象です。

連帯保証人として肩代わりした場合

借金の肩代わりで非常に多いのが、親が子供の借金の連帯保証人になっており、代わりに返済したというケースです。

連帯保証人として代わりに借金を支払った場合、本来は本人に対して「立て替えた分を返して」と請求する権利(求償権)が発生します。

しかし、この権利を放棄して本人に返済を求めなかった場合、実質的にお金をあげたのと同じとみなされ、贈与税の対象になります。

ただし、本人が無一文でどうしても返せない状況であり、やむを得ず請求を放棄したという手順を踏めば、非課税になる条件を満たします。

自分が連帯保証人になっていて代わりに払った場合も、非課税になる基本的な考え方はこれまで解説した内容と同じです。

親族以外が肩代わりする場合の注意点

借金肩代わりの贈与が非課税になる特別なルールは、親族だけでなく友人や知人が肩代わりした場合でも適用されます。

本人が完全に無一文で返済能力がない状態であれば、援助者が誰であっても非課税として扱われるためです。

ただし、親族以外の第三者が多額の借金を肩代わりする行為は、税務署から不自然な資金移動だと疑われやすい傾向にあります。

本当に純粋な善意からの援助なのか、裏で別の財産を渡す見返りではないのかなど、厳しい調査を受ける可能性があります。

親族以外が肩代わりをする場合は、事前に税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

なお、肩代わりをしてくれた相手が個人ではなく会社(法人)だった場合は、原則として贈与税ではなく所得税の対象となります。

この場合でも、借金をした本人が完全に無一文で返済能力がなければ、贈与税と同様に所得税も非課税になります。

相続時精算課税制度を利用して贈与税を回避する方法

借金をした本人に返済能力があり、原則どおり贈与税がかかってしまう場合でも、親や祖父母からの肩代わりなら有効な対策があります。

それは「相続時精算課税制度」という税制を賢く活用する方法です。

この制度を選択すると、親や祖父母から子や孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税が非課税となります。

つまり、2,500万円以下の借金の肩代わりであれば、目の前の贈与税をひとまず1円も払わずに済ませることができます。

ただし、この制度を利用するためには、贈与する側が贈与の年の1月1日時点で原則60歳以上であることが求められます。

さらに、受け取る側についても、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であるという年齢制限がある点に注意してください。

また、この制度は条件を満たしていれば勝手に適用されるわけではなく、税務署への申告が絶対に必要です。

贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、必ず税務署へ届出と申告を行わないと通常の高額な贈与税がかかってしまうので忘れないようにしましょう。

なお、この制度を使って非課税となった金額は、将来親が亡くなったときに相続財産として足し戻され、最終的には相続税の計算対象になります。

しかし、2024年(令和6年)の制度改正により、年間110万円までの基礎控除部分については将来の相続財産へ足し戻す必要がなくなりました。

制度を選択した後は、年間110万円以下の贈与であれば毎年の贈与税申告も不要となるため、非常に使い勝手が良くなっています。

年間110万円を超える部分についてのみ、税金の支払いを将来の相続税まで先送りするというイメージで捉えておくとわかりやすいでしょう。

手元の現金が減っていく借金苦の状況下において、多額の贈与税負担をひとまず回避できるのは大きなメリットです。

贈与ではなく金銭消費貸借契約という方法

財産を持っている家族の借金問題を解決したい場合、贈与ではなく「金銭消費貸借契約」を結んでお金を貸すという選択肢も検討しましょう。

金銭消費貸借契約とは、わかりやすく言えばお金の貸し借りを法的に正式な契約として結ぶことです。

親から子へお金を正式に貸し付け、そのお金を使って借金を返済させるという手順を踏みます。

この方法であれば、あくまで一時的にお金を貸しただけなので、贈与には当てはまらず贈与税はかかりません。

ただし、税務署から本当は贈与ではないのかと疑われないために、親子間であっても必ず金銭消費貸借契約書(借用書)を作成してください。

金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書
親子間でも金銭消費貸借契約書は必ず作成しましょう。

契約書には、作成した日付、貸した金額、利息、返済方法の4つの項目をしっかりと明記することが重要です。

ここで注意したいのは、無利息にしてしまうと利息分を贈与したとみなされるリスクがあることです。

さらに怖いのは、無利息で返す気がないと判断され、最悪の場合は貸したお金全額が最初から贈与だったとみなされてしまうリスクです。

税務調査の際に言い逃れができるよう、世間の銀行ローンなどを参考に、常識的な範囲での利息をしっかりと設定しておくのが安全です。

また、紙で契約書を作成する場合は、借りた金額に応じた収入印紙を必ず貼らなければなりません。

なお、近年普及しているPDFなどの「電子契約」を用いて借用書を作成した場合は、収入印紙を貼る必要がなく印紙代の節約になります。

契約を結んだ後は、銀行振込など証拠が残る方法を使って、毎月きっちりと返済を続けていけば贈与税の問題は発生しません。

逆に、途中で返済を諦めて借金をなかったことにしたり、返済が滞ったまま放置したりすると、残りの金額に対して贈与税がかかるため注意が必要です。

未返済
未返済
返済しなかった分の金額は贈与税の対象

「生活費」としての援助には要注意

親族間の「生活費や教育費」の援助は原則として非課税ですが、これと混同してトラブルになるケースがあります。

借金返済の肩代わりだと税金がかかるから、毎月の生活費として援助し、子供自身の給料を借金返済に回させようと考えるケースです。

生活費名目で振り込んだお金が実際には借金返済に充てられていた場合、税務調査で実質的な借金の肩代わりとみなされ課税されるリスクがあります。

また、お金を貸した親が亡くなった場合、まだ返済されていない貸付金は親の相続財産としてカウントされ、相続税の対象になることも覚えておきましょう。

最後に、借金の額があまりにも大きく、肩代わりすることでご自身の生活まで立ち行かなくなる恐れがある場合は無理をしないことが大切です。

贈与や貸し付けでなんとかしようとする前に、まずは弁護士へ債務整理の相談をすることも、家族を守るための重要な選択肢となります。

  1. ホーム
  2. 生前贈与
  3. 贈与税
  4. 借金の肩代わりのための贈与で非課税になる場合