贈与税の延納期間は5年以内で、延納取消しだと連帯納付義務が発生

贈与税についても相続税と同様に、金銭一括納付が困難である場合には、延納による方法も認められています。

なお、贈与税の「延納期間は5年以内」となります。
(相続税の延納については、相続税の延納に記載しています。)

贈与税の延納条件

  1. 贈与税額が10万円を超えている
  2. 金銭で納付することを困難とする事由がある
  3. 延納税額に相当する担保を提供する(*1)

(*1)延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合は、担保の提供は必要ありません。

贈与税の延納手続き

相続税と同様に、延納申請期限までに「延納申請書」と「担保提供関係書類」を税務署長に提出することが必要です。

提出
提出
相続税の延納と同様に、担保提供関係書類を税務署長に提出することが必要です。

贈与税の延納に関する利子

延納が許可された場合には、年率6.6%の利子税がかかります。

ただし、平成12年1月1日以後に係る利子税の割合については、以下の算式による延納特例割合が適用されます。

現行の延納利子税割合6.6%×延納特例基準割合÷7.3%=延納特例割合(0.1%未満切捨)

(参考:国税庁ホームページの贈与税の申告と納税)

延納が取り消されると連帯納付義務が発生

相続税には連帯納付義務というものがあります。

これは他の相続人が相続税の納付をしていない場合、他の相続人が自分が相続した金額の範囲内を限度として、代わりに納税しなければならないというものです。

要は借金の保証人のようなもので、他の相続人が納税していないと「連帯で責任を負う」というものです。

ただし、以下に該当する場合には、相続税の連帯納付義務はありません。

  • 申告期限等から5年を経過し
  • 納税義務者が延納または納税猶予の適用を受けた

例えば相続人全員が延納を選択した場合には、連帯納付義務はありません。

連帯納付義務
連帯納付義務
相続人全員が延納を選択した場合には、連帯納付義務はありません。

ただし、相続人の中で延納期限までに相続税を納めずに、「延納が取り消された場合」には連帯納付義務が発生します。

こうなると、他の相続人が「延納が取り消された相続人」の相続税を納める必要が出てきます。

贈与税に延納制度はあるけど物納制度はない

相続税には物納、延納制度があります。

ただ、贈与税には物納制度がありません。
(物納税度についての詳しい内容については、物納制度にて記載)

なんでー?

贈与税に物納制度がないのはなぜ?
贈与税に物納制度がないのはなぜ?

冷静に考えれば、贈与税には物納制度がないのは分かります。

例えば、土地を贈与します。

でも、贈与税を払えないので、その土地を物納します。

こんな変な話はありませんよね。

贈与してもらっても、自身の物にならないなら、初めから贈与を受けなければいいだけの話です。

贈与には物納制度はありません。

聞かれることもほとんどありませんが念のため!

贈与税の延納を動画で解説

贈与税の延納について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

贈与税の延納

動画内容

贈与税は、贈与を受けた人が支払う税金です。

その納付方法は、相続税と同じで、金銭で一括して納付することが原則となります。

しかしながら、それが難しい場合は、延納が認められます。

贈与税の延納とは、贈与税の支払いを税務署に待ってもらう手続きのことです。

延納できる期間は5年が限度で、延納が認められれば、年1回払いに分割してもらえます。

ただし、延納した税額には、撮影している時点では、原則、年率6.6%、令和2年1月現在では1.6%の利子税が発生するので注意をしてください。

贈与税の延納は、誰でも認められるわけではなく、条件が3つあります。

1つ目は、贈与税額が10万円を超えていること

2つ目は、金銭で一括して納付することを困難とする理由があること

3つ目は、延納してもらう税額に相当する担保を提供すること

この3つです。

ただし、3つ目の条件である担保については、延納してもらう税額が100万円以下で、かつ、延納する期間が3年以下の場合は必要ありません。

それから、贈与税の延納は、贈与税の納期限までに、必要な書類をそろえて、税務署に申請を行わなくてはなりません。

提出書類は、延納申請書と担保提供関係書類です。

作成する書類が多いため、延納申請を考えたら、まずは専門家に相談しましょう。

延納の申請期限は、贈与税の納期限までです。

通常は、贈与を受けた年の翌年3月15日までが期限となりますが、もし贈与税額に訂正があり、改めて申告を行った場合などは、この申告書の提出日が延納申請期限となります。

最後に、贈与税には物納制度はないのか?とたまに尋ねられることがあるので、お話を致します。

贈与税には、物納制度がありません。

物納とは、相続税の支払いが延納でも困難な場合、相続財産の現物を、税務署に納めて納税する方法です。

贈与の場合は、たとえば土地の贈与を受けた人が、「贈与税を払えないので、その土地を物納します」と言い出したら、少しおかしいですよね。

それなら、なぜ贈与を受けたのか?という話になってしまいます。

したがって、贈与税の納付が難しい場合は、延納制度を活用するしかありません。

贈与税の延納を行うには、必要書類を期限内に、税務署に提出しなければなりません。

延納をお考えの方は、まずは専門家に相談しましょう。