10%以上の被害がある場合、贈与税の減免制度あり

贈与してもらった直後に、火災や震災、風水害等により、その財産(受贈財産)に被害がでた。

もしくは完全に消滅してしまった。

このような場合には、以下の条件を満たせば、贈与税を減免(減額)出来ます。

ちなみに、今回は贈与税という形でご紹介しますが、相続の場合も同様です。
(相続の場合も同様というのは、相続してもらった直後に・・、という意味です。)

贈与直後に受贈財産が災害で被害
贈与直後に受贈財産が災害で被害
贈与税の減免制度あり

減免の条件

以下の1,2のいずれかに該当した場合には、贈与税(もしくは相続税)が減免されます。

  1. 贈与税等の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(相続税については債務控除後の価額)のうちに、被害を受けた部分の価額の占める割合が10分の1以上である
  2. 贈与税等の課税価格の計算の基礎となった動産等(※1)の価額のうちに、当該動産等について被害を受けた部分の価額の占める割合が10分の1以上である

(※1)金銭及び有価証券、土地及び土地の上に存する権利は除く

被害を受けた部分の価額の計算方法

【被害を受けた部分の価額】は、個々の贈与財産(相続財産)ごとに、被害割合(被害の程度)を乗じて算出します。

そして、被害割合は以下のように計算します。

被害額等が明白な場合

被害割合 = (被害額 / 被害があったときの時価)

なお、保険金等による補填額がある場合には、その金額分を被害額から控除します。

被害額等が明白でない場合

①保険金等による補填がない場合

被害割合表により被害割合を求めます。

②保険金等による補填がある場合

被害割合 = 【「(被害額(※2) × 被害割合表)」 - 保険金等による補填額】/ 被害額(※2)


被害額(※2)

取得価額が明らかな建物や家庭用財産、もしくは車両の場合は、取得価額から「償却費相当額」を差し引いた金額となります。

取得価額が明らかでない建物の場合は、地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)の工事費用に総床面積を乗じた金額から、「償却費相当額」を差し引いた金額となります。

取得価額が明らかでない家庭用財産の場合は、家族構成別家庭用財産評価額により求めた金額となります。

災害が法定申告期限後の場合には、原則減免制度は使えない

同じ被害でも、法定申告期限の前か後か?で大きく変わってきます。

被害が法定申告期限前の場合には、贈与によって取得した財産の価額から、被害を受けた部分の価額(保険金や損害賠償金等で補てんされた金額を除く)を控除して課税価格を計算します。

(計算例)

  1. 贈与した動産の価額500万円(基礎控除110万円減額後の金額)
  2. 被害を受けた価額400万円
  3. 補填された価額200万円

このような場合、贈与税の課税対象は300万円(500万円 - 400万円 + 200万円)となります。

なので、一般税率に該当する場合(詳しい贈与税率はこちら)、贈与税は35万円(300万円×15% - 10万円)となります。

本来であれば、75万円(500万円×20% - 25万円)ですので、この場合、40万円贈与税が減免されることになります。

なお、この特例を適用する場合、贈与税の申告書に、被害の状況・被害額等を記載し、申告期限内に提出する必要があります。

では同じ条件で、被害が法定申告期限後の場合はどうなるか?

まず、法定申告期限以内に75万円の贈与税を支払います。

そして期限後に災害が発生し、同様の被害と補填があったとします。

でも、この場合、40万円の贈与税の還付などはありません。

ただし、贈与税を延納していて、法定申告期限後に支払うべき贈与税がある場合には、以下の計算式で減免されます。

減免額 = 災害のあった日以後に納付すべき贈与税額(※3) × (被害を受けた部分の価額 / 贈与財産の課税価格)

(※3)滞納税額、延滞税、利子税、加算税等は含まれません。

基本的に、法定申告期限後の災害については、延納でもしていない限り、「減免制度は使えない」ということになります。

また、減免できる対象の金額は、本来の贈与税額ではなく、法定申告期限後に支払うべき贈与税額(延納している贈与税額)となります。

なお、法定申告期限後の災害で、この特例を適用する場合には、被害の状況・被害額等を記載した申請書を、災害のやんだ日から2か月以内に納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。