相続という現実から目を背けないことが大切
父親(もしくは母親)が亡くなりそうだ。
でも、父親と相続について何も話していない。
ただ、相続の話をすることは、暗に父親に死が近づいていることを宣告するみたいで気が引ける。
このようなケースは少なくありません。
しかし、父親の死亡後について話さなければならないことは、何も相続に限ったことではありません。
以下のようなことを、父親の生前に確認しておかないと、後に色々と面倒になったりします。
- 遺言書の有無
- 葬儀をどうしたいか
- 借金がある場合は、その借金の内容
- パソコンや携帯(スマホ)のパスワード
- 印鑑や不動産に関係する契約書などの保管場所
- ネット証券などの利用の有無(利用している場合はパスワード等)
葬儀社を検討する
余命宣告を受けたり、明らかに死期が迫っている場合には、葬儀社を検討しましょう。
家族が死亡してからするべき手続き一覧にも記載していますが、病院で亡くなった場合(現代は9割以上の方が病院で亡くなると言われています)、臨終後2~3時間後に遺体の搬送が必要で、葬儀社に頼む必要があります。
臨終後すぐに葬儀社が必要であり、また、事前に葬儀社を検討することは、金額面や葬送の内容を詳細に打ち合わせできるというメリットがあります。
なので、突然死でもない限り、不謹慎とは思わずに葬儀社を検討しましょう。
喪服等の準備をする
ご臨終からお通夜までは、1~4日程度しかありません。
その間に喪服を用意しなくてはなりません。
ご臨終からお通夜までの間に土日や休日があると、さにら短い日数で喪服などを用意しなくてはなりません。
また、喪服自体は既に自宅にあるような場合でも、ご臨終した先が田舎(故郷)の病院であるようなケースもあります。
また、昔購入した喪服で、今はサイズが合わない場合もありえます。
家族の死期が迫ったら、喪服等の用意も忘れないようにしましょう。
遺言書の有無だけは最低でも確認する
父親が元気な時に、まったく相続について話しがなかった。
そして、相続についての話しがないまま、ご臨終を迎えようとしている。
そのような場合には、遺言書が存在するのかどうかだけでも、最低限確認しましょう。
遺言書が存在する場合には、その遺言書に大体(もしくは完全に)資産が記載されているはずです。
ただ、遺言書が存在しない場合には、大変な相続になる可能性が高くなると、覚悟したほうがいいかもしれません。
死期が迫っている状態で、資産台帳の作成をしてもらうことは現実的ではありません。(可能であれば作成してもうらに越したことはありません。)
本来、相続については、家族の死期が迫ってからどうこうするべきものではありません。
意識がはっきりしている状態で、相続については相続税対策も含め、家族で話しあっておくべきです。
死期が迫ってからではなく、早い段階で相続という現実から目を背けないことが大切です。
動画で解説
家族の死期が迫ったらするべきことについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
家族が亡くなる時期が近いと知ることは、とてもつらいことです。
しかし、遺された家族は、生きていかなくてはなりません。
そのためには、家族が亡くなった後のことについて、本人を含めて話し合いや、確認をしておく必要があるのです。
確認しておいた方がよいことは、葬儀をどうしたいか、遺言書の有無、借金の有無、パソコンやスマートフォンなどのパスワード、印鑑や通帳、不動産に関する書類、契約書関係などの保管場所、ネット証券口座など、インターネットで管理する財産の有無などです。
このうち、本日お話したいことは、葬儀をどうしたいか、ということと、遺言書の有無です。
まず、葬儀については、亡くなった人の生前の意向が、とても大切になります。
どのくらいの規模にするかで、葬儀社を選ぶ基準や準備、連絡をする範囲も、変わるからです。
さらに、生前に葬儀について、話し合うことができれば、葬儀社を事前に、比較・検討することができます。
亡くなった後に、葬儀社を探し始めた場合、このようなゆとりは、ありません。
そして、もう一つ大切なことが、遺言書の有無です。
遺言書があれば、その中に財産の内容が書かれています。
全ての財産について、記載されていなかったとしても、遺族の負担は、かなり軽減できるはずです。
また、遺言書の有無を確認せずに、遺産分割協議を始めてしまい、話し合いがまとまりかけたところに、遺言書が発見されると大変です。
遺言書の内容によっては、振り出しに戻って、話し合わなければならなくなる、こともあります。
遺言書の有無は、必ず生前に確認をしておきましょう。
近年は「終活」といって、自分の死後の準備を、生前に行う活動が注目を集めています。
死について考えることのマイナスイメージも、少しずつ緩和されているのではないでしょうか。
そうは言っても、デリケートな問題ですから、やはり亡くなる直前に、あれこれ死後のことを確認するのは、気が引ける方も多いと思います。
そうならないために、なるべく元気なうちに話合っておくことが、最も良い方法と言えます。