土地の地下に鉄道などのトンネルが通っている場合は評価減可能

現地で確認することは出来ませんが、土地の地下に鉄道などのトンネルが存在する場合があります。

これは相続税対策や相続税申告のために、収集した資料などで把握出来ます。

土地の地下に鉄道や自動車専用道路などのトンネルが通っている土地は、区分地上権という権利が設定されており、評価減が可能です。

トンネル
トンネル
土地の地下に鉄道などのトンネルが通っている土地は、評価減が可能

区分地上権とは

区分地上権とは、「工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権」をいいます。

鉄道や自動車専用道路などが地下を走っている場合の、その空間部分の権利のことです。

区分地上権がある土地は、以下のような建物の建築制限があります。

  • 構造
  • 用途
  • 高さ
  • 荷重等

この制限の度合いによって、土地の価値が下がり、その土地の相続税評価額が減額出来ます。

区分地上権の確認方法

区分地上権の存在確認方法としては、以下のようなものがあります。

  • 公図
  • 全部事項証明書
  • 支払いの通知書等

公図上に斜めに直線が複数本みられる場合は、区分地上権が設定されている可能性があります。

登記されていれば、全部事項証明書で確認出来ます。

ただし、契約が成立していない場合などには、未登記の可能性もあります。

地下にトンネルがある場合、その土地の所有者であった被相続人は、通常、鉄道会社等と区分地上権の設定契約を結んでいます。

区分地上権の設定契約
区分地上権の設定契約
地下にトンネルがある場合には、通常、鉄道会社等と区分地上権の設定契約を結んでいます。

その際、地代や使用料を受領している場合、使用料の支払いの通知書等がありますので、それで確認出来ます。

区分地上権が設定されている土地の相続税評価額

区分地上権が設定されている土地の相続税評価額は、土地の自用地としての価額から、区分地上権の評価額を減額します。

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そして、区分地上権の評価額は、地下にトンネルがある土地を自用地として評価(まずは通常通りに土地を評価)し、その価額に「区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率」を乗じて算出します。

土地利用制限率とは、公共用地の取得に伴う損失補償基準細則別記2の【土地利用制限率算定要領】に定める土地利用制限率をいいます。

計算例

土地利用制限率が30%の場合で、土地の自用地としての評価額が2,000万円の場合、区分地上権の評価額は600万(2,000万円×30%)となります。

なので、土地の相続税評価額は1,400万(2,000万円ー600万)となります。

土地が倍率地域にある場合

区分地上権が設定されている土地が倍率地域にある場合は、固定資産税評価額に、その区分地上権の減額が反映されているかどうかを確認する必要があります。

確認方法としては、周辺の土地の一坪あたりの単価と比較する方法があります。

それでも不明な場合は、市町村役場(資産税課)に確認する方法があります。

市町村役場(資産税課)
市町村役場(資産税課)
固定資産税評価額に区分地上権の減額が反映されているかどうかを確認

区分地上権の減額が固定資産税評価額に反映されていない場合には、固定資産税評価額に倍率を乗じた価額から、その区分地上権の価額を控除します。

なお、倍率方式での相続税評価方法などについては、土地の相続税評価方法は主に路線価方式か倍率方式だが時価は?に記載しています。

固定資産税評価額に区分地上権の減額が反映されていない場合は、同じように区分地上権を控除すると、2重で減額することになります。

なので、この場合は近隣の宅地の単価を元に自用地価額を算出して、その価額から区分地上権の価額を控除して算出します。

トンネルの上の土地の相続税評価方法を動画で解説

トンネルの上の土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

トンネルの上の土地の相続税評価方法

動画内容

本日は、土地の下にトンネルが通っている場合の土地の評価について、お話をさせて頂きます。

そもそも、皆さまが被相続人から相続した土地について、その相続した土地の下にトンネルが通っているということを、どのように確認するのか?

疑問に思われる方も多いかと思います。

確認の仕方としましては、公図や謄本で確認することとなります。

また、土地の下にトンネルが通っている場合には、被相続人は、鉄道会社との間に区分地上権という契約を結んでいます。

この区分地上権が設定されている土地は、建物の構造や用途、高さなどの建築制限が設けられています。

この建築制限がある分、その土地の価額は下がるという観点から、評価減が認められております。

評価方法としましては、自用地価額から区分地上権の評価額(これは利用制限を受ける部分の価額)を控除して求めることとなります。

今回は、トンネルが通っている場合という、非常にまれなケースについて、お話をさせて頂きました。

これ以外でも「まれなケース」というものは、存在いたします。

些細な事や疑問などがございましたら、税理士法人・都心綜合会計事務所までご連絡下さい。