土砂災害特別警戒区域指定の土地は「10%の評価減」か「時価評価」

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは、土砂災害が起きた場合に、避難体制を特に整備すべき土地の区域を言います。

さらに、この区域のうち、開発行為の制限や建築物が規制される区域を土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)といいます。

この土砂災害特別警戒区域に指定されている土地は、利用価値が低下している土地として、10%の評価減を行って土地を評価する。

もしくは、専門家に鑑定を依頼して、時価評価をして相続税評価額を算出することになります。

土砂災害防止法で規定している3つの災害

地球温暖化の影響なのか、集中豪雨等による土砂災害などが近年増えています。

この土砂災害から人命や資産を守るため、土砂災害防止法により、土砂災害警戒区域等が指定され、注意が喚起されています。

土砂災害
土砂災害
人命や資産を守るため、土砂災害警戒区域等が指定されています。

土砂災害防止法で規定している災害は、以下の3つです。

  1. 土石流
  2. 急傾斜地の崩壊
  3. 地滑り

土石流
対象の土地は、土石流のおそれがある渓流(ただし流域面積が5km2以内)で、対象範囲は谷出口から下流端は渓床勾配が2°まで(明らかに土砂が到達しない範囲は除く)です。

急傾斜地の崩壊
指定する場所は、傾斜度が30度以上で、高さが5m以上の土地です。

急傾斜地
急傾斜地
傾斜度が30度以上で高さが5m以上の土地

指定範囲は以下のようになります。

  • 斜面の上端から水平距離で10m以内の区域
  • 斜面の下端から水平距離で急傾斜の高さの2倍以内(最大50m以内)の区域

地滑り
対象の土地は、地滑りしている区域または地滑りするおそれのある区域の土地です。

地滑り
地滑り
地滑りしている区域または地滑りするおそれのある区域の土地

指定範囲は地滑り区域下端から、地滑り地塊の長さに相当する距離(250mを超える場合は、250m)の範囲内の区域となります。

そして、土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域の中でも建築物に損壊が生じ住民等の生命、又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域を言います。

土砂災害警戒区域等に指定されている土地の評価方法

この土砂災害警戒区域等に指定されている土地の相続評価方法に、実は特に規定はありません。

ただ、不動産の売買市場では、土砂災害警戒区域等の土地の場合、価値は下がります。

相続の実務では、著しく利用価値の低下している宅地として、10%の評価減を行う。

もしくは鑑定をしてもらい時価評価をして、相続税評価額を算出します。

ただし、あくまでも当該区域に指定されている部分のみの土地の評価方法です。

土地の一部が土砂災害警戒区域の指定を受けているからといって、その全ての土地を10%評価減するということは出来ません。

相続税対策をすることも重要ですが、災害に備えることはもっと重要です。

備えあれば憂いなし
備えあれば憂いなし
災害も相続も備えあれば憂いなしです。

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土砂災害警戒区域や評価方法を動画で解説

土砂災害警戒区域等に指定されている土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

土砂災害警戒区域等に指定されている土地の相続税評価方法

動画内容

最近は、台風や集中豪雨による影響で土砂災害が増えているように感じます。

そして、この土砂災害から人命や財産を守るため、土砂災害警戒区域が指定されております。

ここで、土砂災害警戒区域とは、簡単にご説明をさせて頂きます。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは、土砂災害が起きた場合に、避難体制を特に整備すべき土地の区域を言います。

さらに、この区域のうち、開発行為の制限や建築物が規制される区域を土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と申します。

この土砂災害特別警戒区域に指定されている土地は、利用価値が低下している土地として、10%の評価減を行って土地を評価する、もしくは、専門家に鑑定を依頼して、時価評価をして相続税評価額を算出することとなります。

災害に備えることは非常に大切なことです。

それに伴い生じる相続税対策等がございましたならば、税理士法人・都心綜合会計事務所にご連絡下さい。