評価減できるための絶対に必要な2つの条件
日照阻害があるかどうかの判定は、日影による中高層の建築物の高さの制限(いわゆる日影規制)のある地域にある土地で、【日影規制】が守られてなく、日照阻害が生じているかどうかで判断します。
この日影規制は、隣地の日照を確保するために1976年に建築基準法に追加されたもので、高さによる制限や、日陰を生じさせないような建物についての基準を規定しています。
ただし、日影規制のある地域というのは住宅地だけです。
商業地域や工業地域、工業専用地域では、そもそも日影規制はありません。
なので、日当たりが悪くて土地の相続税評価額が減額できるのは、
- 住宅地の土地
- 日影規制が守られてなく日照阻害がある土地
という、2つの条件をまず満たす必要があります。
そして、細かな規定(どの位の時間や距離が日影となるかなど)が設けられており、これらを超えると日照阻害があると判断されます。
住宅地で日照阻害がある土地でも評価減できない場合
前提として、日影規制は1976年の建築基準法に追加されています。
なので、1976年以降に建築された建物などによって、日照阻害が発生している確率は少ないと思われます。
(ただし、新幹線などの鉄道や高速道路の高架の北側に位置する土地は、発生しやすいので注意が必要です。)
実務においても、「日照阻害がある土地」というのは、あまり見かけません。
また、住宅地で日照阻害が発生していたとしても、既に日照阻害の減価が路線価に織り込み済みの場合には、10%の評価減の適用はありません。
日当たりの悪い土地で評価減の適用を検討する場合には、路線価が日照阻害によって既に低くなっている場合も考えられますので、周辺の路線価と比較してチェックしましょう。
相続税対策を早期に行えば、相続税のシミュレーションをすることになりますので、路線価に日照阻害の減額が反映されているのか?反映されていない場合には、日照阻害として10%の評価減が出来るのか?といった対策をとることが出来ます。
これが申告間際だと、厳しいものがあります。
相続税対策は早期に行いましょう。
動画で解説
日当たりの悪い土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
皆様のお住まいの場所、日当たりはいかがでしょうか?
一般的に日当たりの悪い土地は、10%の評価減が可能となります。
ただし、要件がございます。
1つ目、住宅地の土地であること
2つ目、日影規制がされていなく、日照阻害がある土地であること
この2つの要件を満たす必要がございます。
ご注意していただきたいことは、日影になる=日照阻害がある、ということにはなりません。
とある法律の規定があり、それを超える場合は「日照阻害がある」ということとなります。
また、土地を評価する際に、路線価というものを用いて評価することになりますが、この路線価に既に日照阻害による減価(つまり価値が下がっていること)が織り込み済みの場合には、10%の評価減はございません。
従いまして、日当たりの悪い土地で評価減を適用する場合には、周辺の路線価と比較をして、既に日照阻害があることが、路線価に反映されているか否かを検討する必要がございます。
相続税の申告間近になりますと、検討することが厳しくなりますので、対策は早めに行うことが重要となります。