周辺の土地の比べて【高低差のある土地】は10%の評価減が可能

高低差のある土地の相続税評価方法について、解説しています。

高低差があり工事費用がかかる土地の相場は安い

道路より高い位置にある土地又は低い位置にある土地は、10%の評価減が可能です。

これは道路よりも高い土地や低い土地は、著しく利用価値が低下すると判断されるからです。

例えば道路と高低差がある時に、家を建てる・駐車場を作るといった場合、費用が余分にかかります。

家なら階段や手すりが必要になったり、家を建てるために土留めの工事が発生したりします。

階段や手すり
階段や手すり
高低差がある土地に家を建てる場合、階段や手すりなどが必要で、余分に費用が発生

このように道路と高低差がある場合には、通常よりも多くの工事費用がかかります。

そして、実際に市場でも、高低差があり工事費用がかかる土地の相場は、安くなっています。

こういったことから、10%の評価減が認められています。

何mの高低差で評価減は可能か

ではどの位の高低差があれば認められるのか?

実は相続税法上で○○メートル以上の高低差があれば、評価減できるという決まりはありません。

ただ、過去の国税不服審判所裁決事例から、以下の条件を全て満たせば評価減できる可能性が高いです。

  1. 周辺の土地に比べて1m以上の高低差がある
  2. 路線価や固定資産税評価額に高低差による減価が反映されていない
  3. 高低差が評価対象の一部だけでも、他の高低差のないところから通常の利用が出来ない

1のポイントは「周辺の土地に比べて」という箇所です。

評価対象地が1m以上の高低差があったとしても、周りも同じように高低差があった場合には、評価減できない可能性が高いです。

また、2は路線価や固定資産税評価額に高低差が考慮され、既に減額済みの場合は、評価減出来ません。

そして、3は高低差が道路と接している部分すべてにあるわけでなく、ある部分には高低差がなく、道路から出入りできるような場合は評価減出来ません。

坂道の途中にある土地でも、一部では高低差がなく、普通に道路から出入りできるような場合も評価減出来ません。

高低差が激しい場合は相続税対策として、がけ地を含む土地になるかどうかも検討しましょう。

がけ地を含む土地であれば、がけ地を含む土地の相続税評価方法で評価できる可能性もあります。

動画で解説

高低差のある土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

高低差のある土地の相続税評価方法

動画内容

相続した土地が、周りの道路よりも高かったり低かったりすると使い勝手が悪いですよね。

これは家を建てる場面を想像すると、分かりやすいかと思います。

もし、高低差のある土地に家を建てると、外からスムーズに家の敷地に入れません。

土留めの工事をしたり、段差の部分に石段などを設置したりすることが考えられます。

つまり、高低差のある土地は、普通より費用がかかってしまう土地ということです。

当然ながら、買い手も見つけにくいので、市場価値も低くなる傾向にあります。

そのため、こうした土地は相続税を計算するとき、その評価額を10%減らすことができる場合があります。

では、どのくらいの高低差があれば減らせるのかというと、法律には特に決まりはありません。

しかし、それでは困りますので、過去の裁決事例から、どういった場合に認められる可能性があるのか、ということをご紹介してまいります。

次の3つの条件をすべて満たす土地であれば、10%の減額が認められる可能性が高いです。

一つ目の条件は、周辺の土地に比べて1m以上の高低差があること。

ポイントは周辺の土地に比べて、という部分です。

もし、相続した土地に1m以上の高低差があったとしても、周りにも似たような高低差の土地があれば、評価減が認められない可能性があります。

二つ目は、高低差による価値の減少が、路線価や固定資産税評価額に反映されていないこと。

宅地は、路線価や固定資産税評価額によって評価します。

この価格が高低差による土地の価値の減少をすでに考慮して付けられているのなら、そこから、さらに減額することはできない、というわけです。

三つ目は、高低差が評価対象の一部だけで、他の高低差のないところから通常の利用が出来ないこと。

一部に高低差があるだけで、その部分以外であれば、道路から普通どおり出入りできるような場合は、10%の減額の対象にはならない、ということです。

ところで宅地の評価には、がけ地の補正が使えます。

がけ地とは、敷地の中に高低差がある土地のことです。

もし、こうした土地にあたれば、がけ地の補正率によって、通常より評価額を減らすことができます。

使い勝手の悪い土地は、何らかの減額ができる可能性がある、ということを覚えておきましょう。