電線が上に通っている土地は「区分地上権に準ずる地役権」として評価
評価する土地の上に高圧線の電線が通っている場合があります。
このような土地には、【地役権(ちえきけん)】という権利が設定されている場合がありますが、地役権が設定されている場合とされていない場合をまとめて区分地上権に準ずる地役権として評価します。
区分地上権に準ずる地役権とは
区分地上権に準ずる地役権とは、簡単に言えば土地の利用制限を意味し、地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するものをいいます。
必ずしも登記されているとは限りませんが、この権利が存する土地は、建物の建築が制限され、その制限の度合いに応じて土地の価値が下がります。
そのため、相続税評価額の減価要因になります。
土地の上の電線が相続税対策にも影響してきますので、しっかりと区分地上権に準ずる地役権の有無を確認する必要があります。
区分地上権に準ずる地役権の確認方法
確認方法としては、主に以下の4つがあります。
- 現地での確認
- 路線価図での確認
- 契約書等での確認
- 全部事項証明書での確認
現地での確認
相続税評価する土地の上に、電線が通っていないか現地で確認します。
路線価図での確認
その土地が路線価地域の場合、路線価図で大まかな確認は出来ます。
鉄塔のマークを直線で結び、その土地がその直線を通過するかどうかで、ある程度の判断は出来ます。
契約書等での確認
電線(高圧線)の下にある土地の場合、その土地の所有者(被相続人)は電力会社と「線下補償契約」を結び補償料を受領しています。
その補償料の支払い通知書や契約書で確認します。
全部事項証明書での確認
地役権として登記されている場合があります。
登記されている場合には、全部事項証明書の乙区に記載されています。
区分地上権に準ずる地役権が設定されている土地の相続税評価方法
自用地の価額から、区分地上権に準ずる地役権の価額を控除します。
そして、区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた、「土地利用制限率を基とした割合」を乗じて算出します。
その割合は、以下の制限内容の区分に従います。
- 家屋の建築が完全にできない場合
- 家屋の建築や構造に制限がある場合
家屋の建築が完全にできない場合
100分の50
もしくは、借地権割合のいずれか高い割合(地役権が借地権である場合)
家屋の建築や構造に制限がある場合
100分の30
倍率地域に土地がある場合
利用価値の低下に伴い、既に固定資産税評価額が減額されている場合には、減額はなく通常の評価方法となります。
固定資産税評価額に減額が反映されているかどうかは、周辺の土地の1坪あたりの金額と比較して、検証する必要があります。
判断できない場合には、市役所の資産税課等にて確認しましょう。
土地の上に電線(高圧線)が通っていることによる減額が、固定資産税評価額に反映されていない場合は、固定資産税評価額に倍率を乗じ、区分地上権に準ずる地役権の価額を控除して評価額を算出します。
電線がある土地の相続税評価方法を動画で解説
土地の上に電線(高圧線)が通っている場合の土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
皆様が所有されている土地の上に、高圧線の電線、通っていますでしょうか?
もし、高圧線が通っていた場合には、その土地の上に建物を建てることができない、といった制限を受けることとなるため、その分だけ土地の価額が下がることになります。
そして、その価値減少分に相当する金額を、評価額から減額することができます。
評価方法につきましては、自用地の価額から、その土地の価値減少分を控除して求めることになります。
価値減少分の算出方法につきましては、少々複雑なものとなっております。
今回は、高圧線が通っている土地は評価減ができる、ということを覚えて頂ければ思います。
最後に相続税申告、相続税対策のことなら税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せ下さい。