土地から墓地が見え、周辺住民が認知していれば評価減の可能性大
相続する土地の市場価値が、墓地が近くにあるせいで低くなっている場合は、相続税評価額から10%の評価減をすることが出来ます。
中には静かでいいという人もいますが、相続の実務上では減額が可能です。
ただ、どのくらい墓地が近くにあれば評価減が可能か?という論点があります。
実はこれに決まりはありません。
土地からの距離〇〇メートル以内に墓地があれば・・、というような決まりがないということです。
これは実情に合わせて判断していくしかありませんが、以下ような場合には、概ね減額できると考えられます。
- 相続する土地から墓地が見える
- その墓地を周辺地域の住民が認知している
もしも、上述が該当する土地を相続する場合には、評価減出来る可能性があります。
そして評価減となる土地の範囲は全てです。
通常、利用価値が低い土地の評価額は
【利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額】
となります。
ただ、近くに墓地がある場合は、土地の一部ではなく、全体の市場価額が低くなります。
なので、土地全体に対して10%の評価減をすることが可能です。
近くに墓地があっても評価減できない場合
土地から墓地が見え、周辺地域の住民がその墓地を認知していれば、必ず評価減出来るのか?というと、そういう訳でもありません。
以下のような場合には、評価減は出来ません。
- お墓が敷地内にあり、特定の一家だけしか認知していない
- 路線価や固定資産税評価額に墓地が近くにあることによる減額が反映済
ある特定の親族しか認知していないような小規模な墓地は、市場価額に影響を与えません。
なぜなら、そのお墓は移設可能だからです。
そして通常、「移設可能なお墓」は評価減の対象となりません。
また、既に墓地の影響が路線価や固定資産税評価額に反映されている場合にも、既に評価減となっているので、評価減することが出来ません。
既に路線価に反映されているかどうかの確認は、周辺の路線価と照らし合わせて低いようであれば、その可能性が高いです。
土地の相続税評価の際には、周りの状況も確認しましょう。
その土地からお墓が見える場合には、評価減できる可能性があります。
墓地が近隣にあるかどうかなど、直接相続する土地とは関係なくても、財産評価に影響を及ぼすものがあります。
そして、それは相続税対策にも大きく影響してきます。
自己判断は非常に難しい
近くに墓地がある場合の土地の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
相続する土地がお墓の近くにある場合、その土地の評価を下げることができます。
理由は、近くにお墓がある場合、その土地の市場価額が下がる、と考えられるためです。
ここでいう“近く”というのは、お墓からの距離が何メートル以内であるか?ということではございません。
そのお墓を周辺住民の方々が認知しているといった場合には、土地の評価を下げることができると考えられます。
では、どのくらい下げることができるのかと申しますと、相続税評価額から10%減額することができます。
例えば、土地の評価額が1,000万円だといたしますと、その10%の100万円を評価額から減額することができます。
ただし、近くにお墓があれば必ず減額ができるわけではございません。
土地を評価する際に使用する路線価、又は、固定資産税評価額に既に反映済み、といった場合には、減額できないこととなります。
いずれにしましても、財産評価は自己判断が非常に難しいものです。
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