純山林・中間山林・市街地山林の3種類に区分し評価
山林は現状に応じて、以下の3つに区分されます。
- 純山林
- 中間山林
- 市街地山林
この区分に分けて、それぞれ相続税評価をします。
そして、相続税評価額は、
- 市街地山林
- 中間山林
- 純山林
の順で高くなりやすいです。
今回は、山林の相続税評価方法について、解説しています。
純山林及び中間山林は倍率方式で評価
純山林とは、主として林業経営のための山林のことです。
- 宅地または農地等への転用が見込めない
- 専ら木竹の生育の用に供される
という前提で、価格形成が見込まれる地域の山林です。
中間山林とは、純山林及び市街地山林以外の山林です。
- 都市近郊や農村付近にある
- 宅地化や農地化等の影響を受けている
等の純山林より土地の価格が高い水準にある地域の山林です。
この純山林・中間山林は、倍率方式によって評価します。
ちなみに倍率は、国税ホームページの路線価図・評価倍率表
で、該当の地域の倍率を確認することが出来ます。
以下は令和1年の埼玉県秩父市の倍率表の抜粋です。
略称 | 農地の分類 |
---|---|
純 | 純山林 |
中 | 中間山林 |
比準 | 市街地山林 |
【純】【中】と表示されている地域は、固定資産税評価額に、隣に記載されている倍率を乗じて評価します。
【比準】と表示してある地域は、市街地山林として評価します。
例えば、【純】もしくは【中】と表示されている地域の固定資産税評価額が200万円、その倍率が2.5であれば、その相続税評価額は
「500万円(200万 × 2.5)」
となります。
市街地山林は宅地比準方式または倍率方式で評価
市街地山林とは、宅地のうちに介在する山林、又は市街化区域内にある山林です。
そして、市街地山林の相続税評価方法は、「宅地比準方式」または「倍率方式」で評価します。
宅地比準方式とは、その山林が宅地であるとした場合の価額から、宅地造成費を控除して評価する方式です。
宅地比準方式の計算式
【その山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額 - 1㎡当たりの造成費の金額】× 地積
例えば、1㎡当たりの評価額を15万円、その山林を宅地に造成するとした場合の1㎡当たりの造成費を10万円、市街地山林の地積を300㎡とします。
この場合の宅地比準方式による相続税評価額は
【15万円/㎡-10万円/㎡)×300㎡=150万円】
となります。
宅地転用が困難な山林の場合の評価方法
市街地山林に該当しても、宅地転用するために、
- 多額の造成費がかかる
- そもそも急傾斜地等により宅地転用が不可能
といったケースがあります。
このような場合の相続税評価方法は、「近隣の純山林の価額に比準して評価」します。
ちなみに、宅地造成が不可能な急傾斜地(いわゆる、がけ地)ですが、何度以上のがけ地であれば・・等の規定はありません。
ただ、がけ地の判定にも記載していますが、過去の判例から、概ね30度を超える場合には、宅地造成が不可能ながけ地として、考えることが出来ます。
動画で解説
山林の相続税評価方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。