土地の分筆とは
土地の分筆とは何か?
1筆の土地を複数の筆に分けることを分筆(ぶんぴつ)、もしくは筆を分ける(ふでをわける)とも言います。
簡単に言えば1つの土地を法律上、正式に分割することです。
ただ、分筆後の土地は登記だけ別で、所有者の名義は同じです。
土地の数え方の単位は「筆(ふで)」を使います。
1筆を「ひとふで」もしくは「いっぴつ」。
2筆を「ふたふで」もしくは「にひつ」と数えます。
土地の分筆をしたら(土地を法律上、正式に分割したら)、その分割した単位通りに、土地を利用しないといけないのか?
実はその必要はありません。単に法律上土地を分割しているだけで、「土地の利用も分割しないといけない」わけではありません。
なので、「土地の利用単位」と「筆の単位」は一致しないことはザラです。
例えば、4筆のまとまった土地の上に建物が1棟建っている場合や、逆に1筆の広い土地に2棟の建物が建っている場合などもあります。
ちなみに、複数の土地を1筆の土地にまとめることを合筆(ごうひつ、もしくは、がっぴつ)と言います。
土地の分筆でなぜ評価額が減額するのか
土地の分筆(分割)で相続税対策をすることが出来ます。
なぜか?
それは土地の分筆をすると、土地の評価額を低くすることが出来るからです。
土地の評価額は、道路にどのように面しているかなどによって、大きく変わってきます。
土地を分筆すると、分筆した土地の単位で、それぞれ土地の評価額を計算します。
そうすると、分筆前の1つの土地の評価額と、分筆後の2つの土地の評価額の合算金額が同一とならない場合があります。
分筆前の1つの土地の評価額と、分筆後の2つの土地の評価額の合算金額が、なぜ一致しないのか?
それは、土地の評価額を計算する方法が複雑だからです。
道路には路線価という1㎡あたりの価額があり、この路線価の価額に土地の面積を乗じて、土地の相続税評価額を計算します。
その際、土地が細長かったり三角であるなどの歪な形な場合、補正率というものを乗じることになります。
この補正率は土地の利便性か低いものほど低くなり、その分土地の評価額が下がることになります。
簡単に言ってしまえば土地を分筆することにより、1つ1つの分筆後の土地の利便性が下がれば、土地の評価額が下がるということです。
ちなみに、土地の分筆は更地でなくても可能です。
その土地に自宅や建物が建っていても、分筆できます。
相続税対策として分筆は有効です。
ただ、むやみやたらと分筆してしまうと、複雑な遺産分割になりかねないので、注意が必要です。
土地の分筆で評価額が下がる例
以下のような場合に、土地の分筆が有効だったりします。
- 奥行きが長い土地
- 路線価の高い道路と低い道路の両方に接している
奥行きが長い土地の場合、道路に面する土地とその奥の土地(無道路ではなく接道義務は満たす)に分筆することにより、奥の土地は不整形地になり評価額が下がります。
また、路線価の高い道路と低い道路の両方に接している土地については、路線価の高い道路に接した土地と、路線価の低い道路に接した土地に分割します。
分筆せずに一つの土地として評価した場合、「路線価の高い道路でその土地を評価」することになります。
これを避けるために、一方の道路に接した形で分筆します。
こうすれば「路線価の低い道路に接する土地」の評価を下げることが出来ます。
節税目的などの不合理な分筆は節税にならない
土地は取得者ごとに評価します。
例えば1,000㎡ある土地を、100㎡と900㎡に分筆し、それぞれを相続した場合、100㎡と900㎡で評価します。
ただし、土地の分筆(分割)を利用した節税の「やりすぎには注意が必要」です。
例えば、100㎡の土地を5㎡と95㎡に分筆(分割)し、それぞれを相続した場合には、分割前の100㎡の土地として評価することになります。
著しく面積が狭い土地を分筆(分割)などで作り出し、それを相続することによって節税を図ることは出来ません。
他にも以下のような分筆(分割)の場合には、分筆(分割)前の土地で評価をすることなります。
- 無道路地を生み出す
- 意図的に歪な形の土地を作りだす
道路に面しない土地を無道路地といいます。
この無道路地は道路に面していないため、評価が低くなります。
道路に面している分筆(分割)前の土地を、合理的理由もなく、分筆(分割)によって道路に面しない土地を創り出し、評価額を下げることは出来ません。
また、四角い土地を対角線に沿って分割し、三角形などの歪な土地にし評価額を下げることも出来ません。
このように合理的な理由がなく、節税目的のためだけの歪な分筆(分割)の場合は、分筆(分割)前の状態で評価をします。
土地の分筆と相続税の関係を動画で解説
土地の分筆と相続税の関係について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
土地にどのくらいの相続税がかかるかは、土地の評価額で決まります。
そして、宅地の場合、多くは、その宅地が接している道路の価格をもとに評価します。
いわゆる、路線価方式と言われるものです。
そして、土地を分筆すると、評価額が減額できる場合があります。
評価額が下がれば、もちろん相続税の節税になります。
では、分筆とはそもそも何なのか?
なぜ、評価額が減額できるケースがあるのか?ということについて、ご説明致します。
そもそも土地は、筆(ふで)という単位で登記されています。
分筆とは、この1筆の土地を分けることです。
ではなぜ、土地を分筆すると評価額が下がるのかというと、その土地の使い勝手が悪くなるからです。
路線価方式では、土地の使い勝手が悪いものに、補正率という特別な倍率をかけて、評価額を低くするというルールがあります。
たとえば、奥行が長すぎる土地や、入り口が狭い土地、形がいびつな土地は、使いづらいですよね。
同じ面積の正方形の土地があれば、そちらの方が、たとえば家を建てるにしても、駐車場経営を始めるにしても、使いやすいはずです。
ただし、何でも分筆すればよい、というものでもありません。
節税目的のためだけの歪な分筆は、分筆前の状態で評価することになります。
たとえば100㎡の土地を95と5に、分けるような分筆はおかしいですよね。
また、評価額が下がるような分筆をしないと、逆に上がることもあり得ます。
節税目的だけの過度な分筆は避けるようにしましょう。