
土地や建物とは違い、少しイメージしづらいかもしれませんが「構築物」も立派な相続財産です。相続が発生した際には、遺産の中に構築物がないかをしっかり確認し、正しい評価額を計算しなければなりません。構築物の評価額は、今の時代にもう一度新しく作り直したらいくらかかるかという金額(再建築価額)をベースにします。そこから、古くなった分の価値(定率法での減価償却費)を差し引き、残った金額の70%で評価を行います。もし、2つ以上の構築物がセットでないと役に立たないような場合は、それらをまとめて一括で評価します。生前の確定申告で「定額法」を使って減価償却していた場合でも、相続税の計算では必ず「定率法」に引き直して計算する必要があります。
アスファルト舗装やパーキングメーターといった駐車場設備をはじめ、門や塀などの外構工事、擁壁などは、土地にも建物にも当てはまりません。
税務上、これらのような財産を「構築物」と呼びます。
そして、この構築物も相続税がかかる立派な相続財産となります。
「アスファルトや塀にまで相続税がかかるの?」と驚かれる方も多いかもしれません。
また、「生前の確定申告で資産にのせていないから、相続税でも申告しなくて大丈夫だろう」と考える方もいらっしゃいますが、それは間違いです。
個人の所得税の確定申告と相続税の申告は、全く別のルールで動いています。
構築物の相続税評価額は、現在の時点で同じものをもう一度作り直したらいくらかかるか(再建築価額)を基準に計算します。
そこから、完成した時から相続が発生した時までに古くなった分の価値(減価償却費)を差し引きます。
そして、残った金額の70%が相続税評価額となります。
このとき、古くなった分の価値を計算する減価償却は、必ず「定率法」で行うというルールがあります。
構築物は原則として1つずつ評価しますが、2つ以上がセットでないと機能しないような場合は、まとめて一括で評価します。
ここで特に気をつけたいのが、生前の確定申告で「定額法」を使っていたケースです。
平成28年(2016年)4月1日以降に手に入れた構築物は、税制改正により、個人の確定申告では「定額法」しか選べなくなっています。
そのため、近年になって駐車場をアスファルトで舗装したような方は、所得税の確定申告を定額法で行っているはずです。
しかし、相続税の計算では定率法を使わなければならないため、必ず定率法へ「引き直し計算」をする必要があります。
なお、相続税の計算のために定率法へ引き直したからといって、過去の個人の確定申告まで修正する必要はありませんのでご安心ください。
アパート経営や駐車場を貸し出していて不動産所得がある方は、毎年所得税の確定申告をしているはずです。
まずは、その申告書類の中にある「青色申告決算書」や「収支内訳書」を確認してみてください。
この書類の中にある「減価償却費の計算」という一覧表を見れば、構築物があるかどうかを簡単にチェックできます。

しかし、中には所得税の確定申告をご自身でされていない方や、一覧表に構築物を載せていない方もいらっしゃいます。
そのような場合は、毎年送られてくる「固定資産税の課税明細書」などを見て確認してみましょう。
ただし、ここで一つ注意しなければならない点があります。
アスファルトや外構工事などは、建物の固定資産税とは別枠になり、「償却資産」として市役所へ申告するルールになっています。
もし、この償却資産の申告をうっかり忘れていて、お手元の固定資産税の課税明細書に一切載っていなかったとしても、相続税の申告では構築物として財産に含めなければなりません。
「構築物なんて計算しても大した金額にならないから、わざわざ確認しなくてもいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、古くなった構築物は評価額がほとんどゼロに近い金額になることもよくあります。
しかし、駐車場の相続においては、「小規模宅地等の特例」という非常に有利な制度が使えるかどうかの判定に、この構築物の存在が欠かせないのです。
(小規模宅地等の特例の詳しい内容は小規模宅地等の特例は8割も評価減が可能な相続税対策の王様に記載しています。)
小規模宅地等の特例を適用できれば、土地の評価額を最大で8割も下げることができます。
ですが、この特例を受けるためには、その土地が「一定の建物または構築物の敷地」として使われていることが条件になります。
つまり、地面にロープを張っただけの青空駐車場のように、構築物が何もない土地では、小規模宅地等の特例を受けることができないのです。
構築物そのものの評価額がほぼ0円だったとしても、この特例が使えるかどうかで相続税額は何百万円、何千万円と大きく変わる可能性があります。
思わぬ落とし穴にはまらないよう、アスファルトなどの構築物がないか、必ず現地や資料で確認をしてください。
ただし、ここで一つ気をつけたいのが「相続開始前3年以内」のルールです。
相続が起きる直前の駆け込み対策を防ぐため、亡くなる前3年以内に新しく始めた駐車場経営については、原則としてこの特例を使うことができません。
駐車場を活用した相続税対策は、早めに計画することが大切です。
駐車場設備や外構工事などの構築物の相続税評価方法について、税理士法人 都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。
動画内容
構築物は土地や家屋のように馴染みがあるものではないかもしれませんが、立派な相続財産に該当します。
アスファルトや舗装工事、パーキングメーターなどの駐車場設備などが構築物です。
構築物の評価方法は、今の時代に新しく作り直したらいくらかかるか(再建築価額)から、古くなった分の価値を差し引いた金額の70%となります。
わかりやすく申しますと、定率法で減価償却した残りの金額の70%ということです。
構築物なんて大した金額ではないから、申告しなくてもよいのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、駐車場として貸し付けている土地について、小規模宅地等の特例を適用しようとする場合、構築物のない青空駐車場では適用することができません。
一定の建物や構築物の敷地として使われていることが、小規模宅地等の特例の適用要件となっているためです。
たとえ構築物の評価額がゼロに等しいとしても、相続税対策には大きく影響します。
くれぐれも申告漏れがないように、十分注意をしてください。