青空駐車場にはアスファルトなどを敷いて小規模宅地等の特例を利用
小規模宅地等の特例には、以下の4つがあります。
- 特定居住用宅地等
- 特定事業用宅地等
- 特定同族会社事業用宅地等
- 貸付事業用宅地等
駐車場を貸付事業用として相続した。
よって、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用し、200㎡まで50%の評価減に。
基本的に駐車場であれば、貸付事業用宅地等に該当します。
ただ、青空駐車場のように更地の状態の場合には、貸付事業用宅地等として認められません。
よって、50%の評価減も出来ません。

青空駐車場のような更地の場合、貸付事業用宅地等として認められず、50%の評価減が出来ません。
小規模宅地の評価減を利用するためには、建物や構築物の敷地での利用が前提です。
なので、貸し駐車場でも更地状の土地の場合には、建物や構築物がないため適用できないということです。

アスファルトも敷いていない駐車場だと、貸付事業用宅地等と認められません。
うちは更地でも事業として貸付駐車場をしているんだ。
だから、50%の評価減を適用する。
そう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、何の構築物もない青空駐車場だと、「自動車を預かっているだけ」で事業ではないと判断され、貸付事業用宅地等として認められません。
駐車場を貸付事業用宅地等として認めてもらうためには、
- 車止めを作る
- アスファルトを敷く
- コインパーキングにして集金マシンを設置する
などをする必要があります。
特にコインパーキングにして集金マシンを設置すれば、間違いなく貸付事業用宅地等となります。

コインパーキングにして集金マシンを設置すれば、間違いなく貸付事業用宅地等として認められます。
土地が貸付事業用として認められるには、事業に関する何かしらの構築物を作って置く必要があります。
借り手に車庫などの自己負担をしてもらい賃借権の価額を控除
アスファルトを敷くことやコインパーキングにすることが資金的に難しい、もしくは面倒だという場合には、小規模宅地等の特例ほどの節税にはなりませんが、借り手に車庫などを自己負担で作ってもらうなど方法もあります。
これは、駐車場の賃貸契約を結ぶ際に、自動車のオーナー(借り手)が「車庫などを自己負担で作る」というような場合に、賃借権(ちんしゃくけん)の価額を控除した金額で評価できるものです。

自動車のオーナー(借り手)が車庫などを自己負担する場合には、賃借権の価額を控除出来ます。
自動車のオーナー(個人)だけでなく、駐車場経営事業者等(法人)でも可能です。
この場合、土地の評価額から賃借権の価額を控除することが出来ます。
- 賃借権登記がされている
- 借り手から権利金や一時金の支払いがある
このような場合にも、賃借権により下記の割合で評価減出来ます。
詳しくは国税庁のホームページ、貸駐車場として利用している土地の評価
にも記載されています。
(1)控除できる割合
- 堅固な構築物の所有が目的
- 賃借権の登記がされている
- 設定の対価として権利金や一時金の支払いがある
上記のような場合は、貸し手の土地への自由度が低くなるので、控除できる割合が高くなります。
賃借権の残存期間 | 5年以下 | 5年超 10年以下 | 10年超 15年以下 | 15年超 |
---|---|---|---|---|
割合 | 5% | 10% | 15% | 20% |
例えば最長5年の契約で、借り手から権利金を頂いた場合には、駐車場の土地の評価額が1億円だとした場合、
1億円 - (1億円 × 5%) = 9500万円
が駐車場の土地の評価額となります。小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等の50%の減額のよりは少ないですが、相続税対策としては有効です。
(2)控除できる割合((1)以外の条件の場合)
(1)以外の場合は、以下の割合となります。
賃借権の残存期間 | 5年以下 | 5年超 10年以下 | 10年超 15年以下 | 15年超 |
---|---|---|---|---|
割合 | 2.5% | 5% | 7.5% | 10% |
(1)より控除できる割合は低くなります。
駐車場の場合は、こちらの割合で計算することが一般的には多いです。
青空駐車場の相続税対策を動画で解説
青空駐車場の相続税対策について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
持っている土地で駐車場を経営している場合、その土地は、要件を満たせば小規模宅地等の特例が使えます。
駐車場が、小規模宅地等の特例にある、貸付事業用宅地にあたるためです。
もし特例を適用できれば、200㎡までの土地の評価を、半分に減らすことができます。
しかし、経営している駐車場が、青空駐車場のような更地の状態の場合、小規模宅地等の特例は使えません。
小規模宅地等の特例が使えるのは、土地の上に建物や構築物がある場合だからです。
そのため、更地に車をとめさせているだけでは、小規模宅地の特例は使えません。
特例を使いたい場合は、たとえば、車止めを作る、アスファルトを敷く、コインパーキングにする、といった対応があります。
では、こうした対応が資金的に難しい方の場合、節税対策はできないのでしょうか。
この場合、賃借権の設定という方法が考えられます。
賃借権とは、その土地を借りて使う権利のことです。
賃借権が設定されている土地は、持ち主が自由に使えないため、通常の評価額から、賃借権の評価額を差し引くことができます。
小規模宅地等の特例ほど節税にはならないのですが、中には最大20%減額できるケースもあります。
賃借権の控除ができるのは、たとえば、車のオーナーが車庫を自分で建てる、というような場合です。
ほかにも賃借権を登記した場合や、権利金や一時金の支払いを受けた場合などがあてはまります。
賃借権の設定で減額できる割合は、賃借権の残りの年数や、その他さまざまな要因で変わってまいります。