被相続人が居住や同居、事業用に建物を使用していれば適用可能

被相続人の宅地を使用貸借により借受け、別生計親族の者が建てた建物がある場合、小規模宅地等の特例は使えるのか?

別生計親族の者が建てた建物
別生計親族の者が建てた建物
小規模宅地等の特例は使える?

この場合は、「適用できる場合」と「適用できない場合」があります。

「適用できる場合」と「出来ない場合」の事例

別生計親族が、その建物を「本人の事業」又は「居住の用」に供した場合には、小規模宅地等の適用を受けることは出来ません。

ただ、別生計親族が建てた建物を、「被相続人又は被相続人と同一生計の親族」が、「事業」又は「居住の用」に供した場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ます。

可能
可能
適用できる場合と出来ない場合があります。

いくつかの事例をご紹介します。

分かりやすくするため、被相続人を父A、その息子を長男B、娘を長女C、長女Cの夫を夫Dとします。

父Aと長男Bは同一生計であり、長女C・夫Dは別生計。

そして、父Aの宅地に夫Dが建物を建てた場合で、事例を見ていきます。

小規模宅地等を100%使える場合

以下のような場合、小規模宅地等の適用が可能です。

  1. 建物を父Aの事業用又は居住用に使用
  2. 建物を長男Bの事業用又は居住用に使用

小規模宅地等を100%使えない場合

以下のような場合、小規模宅地等の適用が不可です。

  1. 建物を夫Dの事業用又は居住用に使用

ちなみに、長女Cが事業用又は居住用に使用していた場合も同様です。


小規模宅地等を一部(按分して)使える場合

以下のような場合、一部(按分して)小規模宅地等の適用が可能です。

  1. 建物を父Aと夫Dの居住用に使用
  2. 建物を夫Dの事業用と長男Bの居住用に使用

このように被相続人である父Aや被相続人と生計を一にしている長男Bと、別生計である夫Dが併用している場合には、被相続人の居住用部分(生計を一にしている長男Bも含む)は小規模宅地等の特例の対象となります。

使用している面積で案分して、小規模宅地等の適用面積を求めます。
(ただし、建物が「区分所有建物以外の建物」である場合で、被相続人が居住している場合には、按分せずに全て小規模宅地等の適用対象となります。)

娘の旦那名義の建物に同居している場合でも、小規模宅地等の適用は原則可能です。

一見すると基準がゆるいようにも見えますが、口だけで同居していると言ってもダメです。

最大で評価額が80%も減額できる制度です。

税務調査の際には、本当に同居していたのか?などの実態を徹底的に調べられます。

注意しましょう。

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相続税の税務調査対策

動画で解説

建物が別生計の親族の名義でも、小規模宅地等の特例が使える場合について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

建物が別生計親族の名義でも小規模宅地等の特例は使える?

動画内容

まず、簡単に特例の概要をお話し致します。

小規模宅地等の特例では、生前に本人が住んでいた宅地などの価額を80%減額して、20%の価額で相続することができます。

もし、亡くなった人の宅地に相続税がたくさんかかってしまうと、そこに住んでいた家族が相続のあった後、そこに住めなくなってしまうかも知れません。

そういったことを防ぐために、この特例はあります。

また、お店を建てて事業をやっていたような場合にも使えます。

これは、残された家族が事業を引き継ぐことができなくて困る、という事態を防ぐためにあります。

さて、ここからが本題ですが、小規模宅地等の特例を使うには、土地の上に建っている建物に、いくつかポイントがあります。

一番大きなポイントは、その建物を何に使っているか?ということです。

これから申し上げる3つの用途のどれかにあてはまる使い方をしていないと、小規模宅地等の特例は使えません。

一つ目は居住用。つまり、住むために家を建てて使っている場合です。

二つ目は事業用。店舗や事務所として使っている場合です。

三つ目は貸付事業用といって、アパートなどを人に貸すために使っている場合です。(この場合の減額割合は50%)

このような用途で限定されていることもあり、小規模宅地等の特例を使えるケースは、本人名義や、そこに住んでいる家族名義の建物が多くなります。

しかし、見落とされやすいのですが、生計を別にしている親族の名義である建物の場合でも、小規模宅地等の特例を使えるケースがあります。

分かりにくい部分ですので、具体的に説明をしてみます。

登場人物は、次の4人です。

父A、その息子である長男B、娘である長女C、Cの夫Dの合計4人です。

父Aと長男Bは生計が同じですが、長女Cと夫Dは別生計とします。

そして、父Aの宅地に夫Dが建物を建てているとします。

この前提で父Aの相続の際、小規模宅地等の特例が使えるのか見ていきましょう。

父Aが長女の夫Dの建物に住んでいる場合、これはOK(小規模宅地等の特例を使えます)になります。

続いて、父Aがこの建物で事業をやっている場合、これもOKです。

それから、長男Bが居住用や事業用に使っている場合もOKです。

なぜなら長男Bは、父Aと生計を同じにする親族だからです。

このとき、父Aや長男BからDに対し、建物の家賃などを支払っていないことがポイントとなります。

ちなみに、長女Cや夫Dが居住用や事業用で建物を使っている場合はNGであり、小規模宅地等の特例は使えません。

ただし、父Aや長男Bが居住用として建物の一部を使っている場合は、その部分は小規模宅地等の特例が使えます。

「娘の夫婦と生計は別だけれど同居している」というケースです。

ただし、口だけ(で)同居していると言ってもダメです。

最大で評価額を80%も減額できる制度ですから、税務調査の際には、本当に同居していたのか?などの実態を徹底的に調べられます。

ご注意ください。

それから、長女Cや夫Dが家を建てるために、父Aから土地を借りている場合も考えられます。

このとき父Aにきちんと地代を支払っている場合は、貸付事業用として50%の減額ができる可能性があります。