定期金は時価で評価する

定期金には、有期定期金と終身定期金があり、これらの相続税評価方法は「相続税法第24条」で定めらています。ただ、簡潔に言ってしまえば、時価評価といえます。

定期金
定期金
定期金の相続税評価方法は時価

ちなみに、無期定期金というものも形式上はありますが、実際には存在しえないと思われます。

有期定期金の相続税評価方法

有期定期金とは、ある一定期間、現金等の給付を受けることが出来る権利のことをいいます。

例えば、被相続人が加入していた「保証期間を10年とした個人年金保険」などが該当します。

そして、この有期定期金の相続税評価方法は、以下のように定められています。

~以下、国税庁HP(第24条((定期金に関する評価))関係)より引用~

有期定期金

次に掲げる金額のうちいずれか多い金額

(1) 定期金給付契約に関する権利を取得した時において、その契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において、一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3) 定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその契約に基づき定期金の給付を受けるべき残りの期間に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額

(1)の「解約返戻金の金額」とは、定期金給付契約を相続した相続人が、その契約を解約した場合に、その相続人が受け取れる金額のことをいいます。

(2)の「一時金の金額」とは、受け取れる残りの給付金を一括で受け取る場合の金額のことをいいます。(解約返戻金の金額とほぼ一緒となります。)

(3)の「一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額」とは、ざっくり言えば、予定利率から現在価値を算出した金額のことをいいます。

具体例

被相続人Aが個人年金(保証期間10年)に加入していて、年金を受け取りはじめてから4年後に死亡し、相続人が残りの6年間、個人年金を受け取る場合で、以下のような場合

  1. 解約返戻金の金額:2,890万円
  2. 一時金の金額:2,810万円
  3. 現在価値:2,998万円(一年当たりの平均額:500万円、予定利率による複利年金現価率:5.997)

1~3で一番多い金額の2,998万円(500万円×5.997)が相続税評価額となります。

ちなみに、Aさんの死亡により年金が打ち切りになる場合(相続人が年金を受け取れない場合)は、相続税評価額は0円となります。

終身定期金の相続税評価方法

終身定期金とは、契約において対象とした人が死亡するまで、定期金の給付を受けられる権利のことをいいます。

この終身定期金の相続税評価方法は、以下のように定められていますが、ざっくり言えば、有期定期金の評価方法とほぼ同じです。

~以下、国税庁HP(第24条((定期金に関する評価))関係)より引用~

終身定期金

次に掲げる金額のうちいずれか多い金額

(1) 定期金給付契約に関する権利を取得した時において、その契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において、一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3) 定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその目的とされた者に係る余命年数に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額

ちなみに余命年数は、厚生労働省の完全生命表に掲載されている、平均余命から算出されます。

ご参考までに、以下は厚生労働省の生命表(完全生命表)の概況にご紹介されている生命表となります。

無期定期金の相続税評価方法

無期定期金とは、名前の通り期限がないもので、永久に現金等の給付を受けることが出来る権利のことをいいます。

現実的には存在しえないと思われますが、以下のように評価方法は定められています。

~以下、国税庁HP(第24条((定期金に関する評価))関係)より引用~

無期定期金

次に掲げる金額のうちいずれか多い金額

(1) 定期金給付契約に関する権利を取得した時において、その契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額

(2) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において、一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額

(3) 定期金給付契約に関する権利を取得した時における、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額を、その契約に係る予定利率で除して得た金額