
市街地農地の相続税評価を「宅地比準方式」で行う場合、1㎡当たりの宅地造成費の控除が必要になります。この金額は自身で複雑な計算をする必要はなく、国税庁によって「地域」や「傾斜度」ごとに明確に定められています。本記事では、平坦地と傾斜地それぞれの造成費の内訳や調べ方を分かりやすく解説します。
宅地造成費の金額は、工事にかかる費用(整地・土盛り・土止めなど)がおおむね同一と認められる地域ごとに、国税局長が定めています。
1㎡当たり控除できる具体的な金額は、国税庁の路線価図・評価倍率表のページにて確認することができます。



このように、あらかじめ各都道府県別に金額が設定されているため、実際の工事見積もり等を取り寄せて計算する必要はありません。
実際の評価においては、この表に基づいて「平坦地」と「傾斜地」に区分し、必要な費目を控除して計算を進めます。
市街地農地が平坦地である場合、宅地として利用するために必要と認められる以下の工事費目を控除することができます。
土地の凸凹をならすための地ならし費用です。土盛工事が必要な土地の場合は、土盛工事をした後の地ならし費用としても計上されます。
土地が道路よりも低い位置にある場合、宅地として利用できるよう道路面まで地上げする(土砂で埋め立てる)工事費です。
【ポイント】切土費について
評価基準に明記されていませんが、逆に「土地が道路よりも高い位置にある場合」に道路面まで土地を下げる(土砂を搬出する)工事費を切土費と呼びます。過去の裁決事例において、この切土費も宅地造成費として控除できると判断されています。
土盛りや切土によって生じた高低差により、土砂の流出や崩壊を防ぐために構築する擁壁(ようへき)工事の費用です。
※土盛費・土止費における「宅地として利用できるように」とは、原則として道路面まで高さを合わせることを指します。
湿田など、軟弱な表土で覆われた土地の地盤を安定させるために行う工事費です。
樹木が生育している土地において、樹木を切り倒し、根を引き抜いて除去するための工事費用です。
※ただし、通常の整地工事の範囲内で樹木を除去できる場合は、この費目を別途控除することはできません。
傾斜地の場合、傾斜度(角度)に応じて1㎡当たりの造成費が定められています。
この定められた金額には、「整地費」「土盛費」「土止費」がすでに含まれています。
注意点として「伐採・伐根費」は含まれていません。そのため、傾斜地で樹木の伐採・伐根が必要な場合は、傾斜地の造成費に加えて、平坦地の伐採・伐根費を別途加算して控除することが可能です。
「3度を超える傾斜」を持つ土地が傾斜地として扱われます。
傾斜度は以下の判定表を用いて、➀【高さ÷奥行】または ➁【奥行÷斜面の長さ】のいずれかの計算結果から該当する区分を導き出します。
※測量や計算は専門的な判断を要するため、実務においては専門家に相談することを推奨します。
| 傾斜度 | ➀【高さ÷奥行】 | ➁【奥行÷斜面の長さ】 |
|---|---|---|
| 3度超 5度以下 | 0.0524超 0.0875以下 | 0.9962以上 0.9986未満 |
| 5度超 10度以下 | 0.0875超 0.1763以下 | 0.9848以上 0.9962未満 |
| 10度超 15度以下 | 0.1763超 0.2679以下 | 0.9659以上 0.9848未満 |
| 15度超 20度以下 | 0.2679超 0.3640以下 | 0.9397以上 0.9659未満 |
| 20度超 25度以下 | 0.3640超 0.4663以下 | 0.9063以上 0.9397未満 |
| 25度超 30度以下 | 0.4663超 0.5774以下 | 0.8660以上 0.9063未満 |
傾斜度が急になる(角度が大きくなる)ほど、控除できる宅地造成費の単価も高くなります。