農地もしくは雑種地等として評価する
耕作していない農地の相続税評価は「農地」、もしくは雑種地等(雑種地や原野)で評価することになります。
農地で評価するか・雑種地等で評価するかで、相続税評価額は大きく変わります。
農地として評価するかどうかの判断方法
農地をほぼ放置している。
また、評価対象地の登記地目は「畑」であるが、数年間、耕作せずに放置していた結果、固定資産税の課税明細上は「雑種地」になっている。
ただ、いつでもすぐに耕作を再開できるように、最低限の管理だけはしていた。
この場合、農地として評価するのか?
それとも、雑種地として評価するのか?
結論を先にいうと、上記の場合は「農地として相続税評価」します。
まず、相続税評価の際、地目は「登記簿上の地目」ではなく、「現況の地目」で判断します。
(詳しくは、登記簿上の地目と現況の地目が異なる場合に記載しています。)
また、放置状態の農地であったとしても、いつでもすぐに耕作を再開できる状態であれば【耕作の目的に供される土地】として判断されます。
なので、いくら雑草が生えていようと、いつでもすぐに耕作を再開できるのであれば「農地として評価」することになります。
逆に言えば、雑草を抑えるために砂利等を敷き、いつでもすぐに耕作を再開できない状態であれば「雑種地で評価」することになります。
作物が自然に育ってくる場合
まったく手入れをしていない土地なのに、作物が自然に育ってくる。
この場合は、意外かもしれませんが、農地として相続税評価しません。
農地法上、農地は【耕作の目的に供される土地】を指します。
そして、耕作とは【土地に労費を加え、肥培管理を行って作物を栽培する】ことであるため、何の労力も加えず、勝手に作物が育っている土地は、農地法上の農地に該当しません。
よって、「農地として相続税評価をしない」ことになります。
農地として評価できなければ相続税評価額が大幅に上がることも
農地として評価できるかどうかは、相続税評価額に大きく影響します。
上記の例で、雑種地で評価することになった場合、相続税評価額が大幅に上がる可能性があります。
というのも、一般的に「雑種地の評価額 > 農地の評価額」という関係があります。
仮に、以下のような条件の場合、農地として評価する場合と、雑種地として評価する場合で、相続税評価額がどの位変わってくるかを計算しています。
具体例
条件
- 評価方法:倍率方式
- 評価対象地積:600㎡
- 評価倍率「畑」:30倍
- 評価倍率「宅地」:1.1倍
- 近隣の畑の単価:120円/㎡
- 近隣の宅地の単価:16,000円/㎡
- 宅地造成費:5,500円/㎡
農地で評価する場合の相続税評価額
2,160,000円(120円 × 600㎡ × 30倍)
雑種地で評価する場合の相続税評価額
7,260,000円(16,000円 × 1.1倍 - 5,500円) × 600㎡
あくまでも例ですが、農地として評価できない場合、相続税評価額は上がると、考えておいた方が無難と言えます。