急いで財産を守る必要があれば財産管理者を選任する
ある日、親が認知症になった。
そこで成年後見開始の審判申立を家庭裁判所へすることに。
申立からしばらく経って、親の預金残高が異様に減っていることが発覚。
調べてるみると、親の預金管理をしていた妹が勝手に親の預金を使い込んでいる。
このままだと親の預金がなくなってしまう。
でも、なかなか成年後見人が選任されない。
調べると成年後見が開始されるまで大体2~3ヶ月はかかると判明。
この間の妹の使い込みをなんとか防げないか?
このように成年後見人が選任されるまでの間に
- 財産を隠される
- 財産を使い込まれる
- 悪徳な業者に騙されて高額な商品を買わされてしまう
といった不利益が発生する可能性は十分にありえます。
そして、全国の家庭裁判所の7~8割の
- 後見人
- 保佐人
- 補助人
- 任意後見監督人
の選任の平均期間は2か月以内です。
ただ、年々短縮される傾向にあるとも言われています。
しかし、それでも成年後見人が選任されるまで待てない場合には、審判前の保全処分として家庭裁判所に申し立てる、あるいは家庭裁判所の職権によって財産管理者の選任をすることができます。
財産管理者とは後見人が決まるまでの間に、その財産を保全する人のことです。

急いで財産を守らなければならない状況であれば財産管理者を選ぶ
財産管理者選任の審判前の保全処分を申し立てる際には、妹が親の預金を使い込むのを防ぐなどの保全する必要を具体的に明示する必要があります。
そして財産管理者が選任されると、後見人が選任されるまでの間、財産管理者が親の財産の管理を行います。
この管理には通帳の再発行手続きなども含まれます。
また、財産管理者が選任されている状態で親が黙されて高額な商品の契約をした場合、財産管理者の同意を得ないで行った取引行為として取り消すことも可能です。
成年後見人が選任されるまでの間に、認知症になった親の財産を使い込まれないように、財産管理者という存在だけでも知っておきましょう。
また、親が認知症になったら親の財産を誰かに使い込まれるかも?などの不安を感じる場合には、親が認知症になる前に家族信託の利用を検討してみましょう。
動画で解説
成年後見人が選任されるまで待てない場合について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴できます。
動画内容
今回は財産管理者についてお話を致します。
もし、ご家族が認知症などによって判断能力が下がってしまった場合、自分で財産を管理することが難しくなります。
このような場合には成年後見人などを選任する必要がありますが、この後見人を選ぶには裁判所での手続きが必要になります。
しかし、後見人が決まるまでおおむね2ヶ月ほどかかると言われています。
そうすると後見人が決まるまでの間に、勝手にその財産を使い込んでしまう親族が出てきてしまう可能性があります。
預金口座のキャッシュカードなどを預かっている親族が、勝手に銀行でお金を引き出して使ってしまうようなケースです。
また、後見人が決まるまでの間に認知症になったご家族が悪徳な業者に騙されて、高額な商品を買わされてしまうということも考えられます。
このような後見人が決まるまでの間に急いで財産を守らなければならない状況があるときは、家庭裁判所で財産管理者という人を選ぶことができます。
財産管理者とは、後見人が決まるまでの間にその財産を保全する人のことです。
財産管理者が決まれば銀行での手続きによって、親族が勝手に預金を引き出すのを防ぐことができます。
また、財産管理者が決まったあとに、もし親族が騙されて買い物をさせられてしまった時は、その売買契約を財産管理者で取り消すこともできます。
全ての人に必要な手続きではありませんが、もし後見人が決まるまでにその財産を急いで保全する必要があるときは、こうした手続があるということも知っておいてください。