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成年後見人が選任されても実家の売却は困難

一人暮らしの親が認知症になり、介護施設へ入所するケースは珍しくありません。

その際、誰も住まなくなった実家を売却しようとしても、親本人の判断能力が低下していると自力での売却手続きができなくなります。

実家が空き家
実家が空き家
一人暮らしの親が認知症になり、実家が空き家に

そこで「成年後見人」を選任して、親の代わりに実家を売却してもらおうと考える方は多いでしょう。

しかし、成年後見人がついたからといって、自由に実家を売却できるわけではありません。

実家などの「居住用不動産」を売却・処分するには、事前に家庭裁判所へ申立てを行い、個別に許可を得る必要があります。

たとえ親が施設に入居して現在空き家になっていても、元々住んでいた実家は居住用不動産として扱われるため注意が必要です。

条件次第では、この実家に小規模宅地等の特例が適用できる可能性もあります。

詳しくは、老人ホームに入居しても小規模宅地等の適用は可能?をご覧ください。

また、持ち家だけでなく、賃貸アパートなどの契約を解除する場合も同様に家庭裁判所の許可が必要です。

賃貸マンション
賃貸マンション
賃貸マンションなどの契約解除にも家庭裁判所の許可が必要

ちなみに、アパートなどを「借りて住み続ける権利(賃借権)」も相続財産になります。

詳しくは、賃貸マンション等の建物賃借権は相続可能!よって住み続けられるをご覧ください。

もし親の預貯金が十分にあり当面の施設費用が払える場合や、将来的に実家へ戻る見込みがある場合は、売却の許可が下りない傾向にあります。

さらに、現在の成年後見制度を利用するうえで知っておくべき大きな注意点があります。

それは、弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれた場合、管理する財産額等に応じて月額2万円〜6万円程度の報酬を親の財産から支払い続けなければならない点です。

現行の制度では一度利用を開始すると、実家の売却という目的が達成されても、親が亡くなるか能力が回復するまで原則として途中でやめることができません。

ただし、この重い負担や課題を解消するため、現在国では法改正の準備が着々と進められています。

2026年2月12日には、法制審議会から法務大臣へ民法改正の要綱が正式に答申されました。

国会への改正法案の提出が予定されており、成年後見制度の根本的な見直しが行われる見込みです。

具体的には、現在の強力な権限を持つ「後見・保佐・補助」の3類型が廃止され、本人のニーズに合わせて必要な範囲だけをサポートする「補助」の制度へと一本化されます。

これにより、実家の売却といった特定の目的が完了した時点で、制度の利用を途中で終了できる仕組みが導入される予定です。

将来的には「成年後見人」という強力な枠組み自体が見直され、より柔軟に利用しやすくなるでしょう。

とはいえ、新制度が完全に施行されるまでには時間がかかりますし、居住用不動産の処分に家庭裁判所の許可が必要な仕組み自体は残ります。

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そこで、将来の不安をなくす有効な事前対策として「家族信託」をおすすめします。

親が元気なうちに家族信託を契約し、実家の管理や処分の権限を子供に託しておけば、家庭裁判所の許可を待つことなく家族のタイミングでスムーズに売却が可能です。

制度導入時の初期費用はかかりますが、成年後見人のような継続的な専門家の月額費用は発生しません。

家族信託の詳しい内容につきましては、家族信託とは?認知症による財産凍結を防ぐ相続対策に記載しています。

動画で解説

親が認知症となってしまい、介護施設に入所して、自宅が空き家となった場合に、その自宅を売却することが、できるのかどうか、また、どういった対策が有効かについて、税理士法人 都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

成年後見人でも実家の売却は容易ではない

動画内容

まず、認知症などによって、判断能力がなくなってしまった方は、自分で不動産の売却などの、法律行為を1人で行うことができません。

このような場合には、ご家族や法律の専門家などが家庭裁判所の審判を経て、成年後見人となることで、認知症になってしまった方の代わりに、不動産の売却などを行うこととなります。

それなら、成年後見人が空き家となった自宅も売却できそうな気もしますが、残念ながら自宅の場合、いくら成年後見人でも、勝手に売却や処分をすることはできません。

これは法律で、居住用の不動産を売却したり賃貸したりする場合などは、家庭裁判所の許可を得なければならない、という決まりがあるからです。

居住用の不動産は、人が生活するために特に重要な財産ですから、このような許可を必要とします。

たとえ、認知症で施設に入居したとしても、それまで住んでいた家は、居住用の不動産に該当しますので、認知症になってしまった親の家は、家庭裁判所の許可がなければ売却できません。

これは、アパートなど、賃貸物件に住んでいる場合も同じです。

親が借りている賃貸契約を解除するにも、家庭裁判所の許可が必要となってきます。

そして、もし将来的に、その家に戻る見込みがある場合は、許可が下りにくい傾向があります。

また、現金が必要で売却をしたい場合でも、不動産のほかに、預貯金などの財産がある場合は、まず、その資産から使うように言われてしまうため、この場合も許可が下りにくくなります。

このような事態に陥ってしまわないためには、認知症になる前に、家族信託を利用することが有効です。

家族信託の詳細につきましては、この動画では割愛をさせていただきますが、家族信託とは、財産管理を行うための家族同士の契約のことで、家族信託であれば、そのような問題にも対処することが可能です。

将来、ご自身が認知症になってしまったとき、周囲のご家族が困らないよう、財産管理の方法は、今のうちにきちんと決めておきましょう。

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