
実家などの空き家を相続した場合、建物を解体して更地にしたり、耐震改修して売却したりすると、譲渡所得(売却益)から最高3,000万円を控除できる嬉しい特例があります。さらに2024年からは「そのまま売却して、後から買主に解体してもらう」形でも特例が使えるようになり、要件がグッと緩和されました。空き家の相続でお悩みの方は、必ずこの特例をシミュレーションしましょう。
この特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)を使うには、まず以下のいずれかの方法で空き家を売却する必要があります。
以前は売る側が自腹で解体などをしなければいけませんでしたが、現在はそのまま売却して買主に任せることもできるようになり、非常に使いやすくなりました。
その他の必須条件
上記の売り方に加えて、以下の条件をすべて満たす必要があります。
「親が老人ホームに入っていて、実家はずっと空き家になっていたんだけど…」というケースも多いですよね。
以前はこの特例の対象外とされていましたが、現在はルールが緩和されています。以下の要件などを満たせば、老人ホームに入居していて空き家になっていた場合でも、特例が使えるようになっています。

どれくらい税金がお得になるのか、簡単な例で見てみましょう。
通常、不動産を売って利益が出ると約20.315%の税金(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)がかかります。
特別控除が使えない場合:税金は約500万円
計算式:[5,000万円(売却額) - 500万円(解体費用) - 2,000万円(購入費用)] × 税率約20.315%
特別控除(3,000万円)が使える場合:税金は0円
計算式:[5,000万円(売却額) - 500万円(解体費用) - 2,000万円(購入費用) - 特別控除額3,000万円] × 税率約20.315% = 0円!
※計算上の注意点:
建物の取得費(購入費用)は、当時の購入代金から年数に応じた減価償却費を差し引いて計算するなど、実際の申告には詳細な確認が必要です。
※手続き上の注意点:
特例の適用により税金が計算上「0円」になる場合でも、必ず「確定申告」と、市区町村での「被相続人居住用家屋等確認書」の取得手続きが必要です。何もしないと自動的に0円になるわけではないのでご注意ください。
2024年の人口戦略会議の最新推計では、全国の744の自治体が「消滅可能性自治体」になると予測されています。

さらに、2050年には日本の国土の約6割が無人になるという国土交通省の試算もあります。
そのような時代背景もあり、「実家(空き家)を相続したくない」という方が増え続けています。
空き家を維持するには、固定資産税やメンテナンス費用がかかり続けます。リフォームして売ろうと思っても、人気エリアでなければ買い手がつかないことも少なくありません。
また、日本では建物を解体して更地にすると、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がる仕組みがあるため、「とりあえず建物を残しておく」人が多く、全国で空き家問題が深刻化しました。
これを解決するため、国は【空き家対策特別措置法】を改正し、空き家へのペナルティを強化しました。倒壊の恐れがある「特定空家」だけでなく、窓が割れていたり雑草が放置されたりしている「管理不全空家」に指定され、市区町村から改善の「勧告」を受けた場合、建物が建ったままでも住宅用地特例から外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がるという厳しい措置がとられるようになっています。
実家が空き家になることが予想される場合、相続税対策だけでなく、売却時の税金、固定資産税、解体費用などもトータルで考える必要があります。

「実家を誰が相続するのか?」「相続したら売るのか、住むのか?」「売るとしたらいくらになりそうか?」
特例を使うには「相続発生から約3年以内」という縛りに加え、現在の制度自体が【2027年(令和9年)12月31日までの売却】を対象とした期間限定の特例となっています。
後で「知っていれば税金がかからなかったのに…」と後悔しないよう、事前のシミュレーションと早めの対策をおすすめします。