相続した空き家の売却は最高3000万円の特別控除の可能性も

空き家があるから、相続放棄をするべきか?

悩まれる方は少なくありません。(相続放棄についての詳しい内容は、相続放棄に記載しています。)

ただ、空き家を相続した場合には、その建物や土地を相続後に売却する場合、一定の条件を満たせば、譲渡所得の最高3000万円の特別控除を受けられる可能性があります。

相続放棄する前に、必ずシミュレーションしましょう。

空き家の相続に使える3000万円の特別控除の条件

2016年4月以降に空き家を相続した方は、

  1. 耐震化して建物だけ売却
  2. 耐震化して建物と土地を売却
  3. 建物を解体して更地にして売却

のどれかをし、かつ以下の5つの条件を満たしていれば、譲渡所得の最高3000万円の特別控除が出来ます。

空き家を解体
空き家を解体
建物を解体して更地で売却したり、耐震化して建物を売却した場合には、譲渡所得の最高3000万円の特別控除が使えます。

5つの条件

  1. 譲渡価額が1億円を超えないこと(*1)
  2. 相続してから売却まで利用していない(*2)
  3. 1981年5月31日までに建築された一戸建て住宅(*3)
  4. 2016年4月1日~2019年12月31日までの間に売却(*4)
  5. 被相続人が同居人なしで住んでいて、相続開始により空き家になった家屋(*5)

(*1)土地・建物合わせた金額でも1億円以下

(*2)相続した土地や建物を、事業に利用したり、貸付けたり、住んだりしていないこと

(*3)区分所有の建物やマンションは条件に該当しない

(*4)相続発生から「3年後の年末」までに売却するものが対象。なので、実質的に2013年1月2日以降に相続したものが対象

(*5)老人ホーム入居して、自宅が空き家になっていた場合には、この特例は使えません。なお、小規模宅地等の特例は、亡くなった人が老人ホームにいても使える場合があります。

老人ホーム
老人ホーム
老人ホーム入居して、自宅が空き家になっていた場合には、譲渡所得の最高3000万円の特別控除の特例は使えません。

計算例

  1. 解体費用が500万円
  2. 土地売却額が5000万円
  3. 被相続人の土地購入金額が2000万円
  4. 被相続人の所有期間が5年を超えている

この場合、もしも特別控除額3000万円が使えない場合は、売却に伴う税金は約500万円(*1)です。

特別控除が使える場合は、税金は0円(*2)になります。

(*1) [5000万円(売却額) - 500万(解体費用) - 2000万(土地購入費用)] × 税率

(*2) [5000万円(売却額) - 500万(解体費用) - 2000万(土地購入費用) - 特別控除額] × 税率

自宅(空き家)はもはや資産ではなく負債?

現在、2020年には都心部のマンション価格が暴落し、2023年には住宅全体の2割が空き家になり、2040年までには全国の約900市区町村の自治体が消滅するかもしれないと言われています。

消滅
消滅
2040年までには全国の約900市区町村の自治体が消滅?

さらに、2050年には日本の国土の約6割が無人になるという国土交通省による試算もあります。

そのような中、自宅(空き家)を相続したくない方も増え続けています。

自宅(空き家)を相続した場合、リフォームする・取り壊す、どちらしろお金がかかります。

現状では、都心部などの人気エリアでない限り、リフォームをしても買い手がつかない場合もあります。

また、建物がある土地は、土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇される特例というものがあります。

逆に言うと、建物を解体すると固定資産税が増えるということです。

その結果、建物を解体せず、日本全国で空き家が増え続けています。

このような現状を打開するべく、2015年2月に【空き家対策特別措置法】が施行されました。

空き家対策特別措置法を税金の面に関する部分で言えば、問題のある(治安悪化の原因になっている)空き家などの場合には、建物(空き家)があっても固定資産税の優遇措置をとらない(建物があるかといって固定資産税を安くしない)というものです。

被相続人の自宅が空き家になっている。相続税対策のみならず、固定資産税や解体費用、リフォーム費用なども考える必要があります。

リフォーム
リフォーム
空き家を相続する場合には、固定資産税や解体費用、リフォーム費用なども考える必要があります。

相続税対策としては、その空き家の土地の譲渡価額が1億円を超えないかなどを事前に見積もっておいたほうがいいでしょう。

また、たとえ自宅(空き家)のほうが財産の評価額が高くても、その後の面倒などを考えて、自宅(空き家)の評価額よりも少ない現金のほうを相続したいという方は少なくありません。

自宅(空き家)を誰が相続するのか?

相続した場合、売却するのか?

そこに住むのか?

売る場合はいくら位で売却できそうか?

相続税対策の一環として、事前に考える必要があります。