明瞭・簡潔になった「広大地に該当するかどうか」の適用要件

説明の便宜上、

  • 旧制度の広大地・・旧広大地
  • 地積規模の大きな宅地・・新広大地

として、以下説明しております。

旧広大地通達では、広大地に該当するかどうかの適用要件は、難解で不明瞭な点がありました。

しかし改正により、新しい広大地通達で、適用要件が客観的かつ明確になりました。

これに伴い、「広い土地の相続税対策はしやすくなった」と言えます。

広大地に該当しないことを恐れて「更地のまま」にする必要はない

旧広大地通達では、広大地に「該当する・しない」として、以下のような論点がありました。
(その他にも論点はありますが、ここでは割愛しています。)

  1. 既に有効活用されている建築物等の敷地かどうか
  2. 対象地域における標準的な宅地に比して、著しく広大であるかどうか

1の場合であれば、「既に有効活用されているかどうか」が論点になりました。

有効活用されている建築物等があると、「広大地に該当しない」ということです。

2の場合であれば、周辺の標準的な利用状況を鑑みて、「対象の土地が著しく広大である」と言えるのかどうかが、論点になりました。

通常であれば、広大と言えるような土地でも、周辺も同じように広大な土地(倉庫や駐車場など)であれば、「広大地に該当しない」ということです。

このような状況であったため、広大地適用を見据えて、土地に不動産を建てず、「土地を更地のままにする」ということもありました。

しかし、新広大地通達では、建物の有無や用途に関係なく、広大地に「該当する・しない」を判断します。

新広大地通達の適用要件については、地積規模の大きな宅地の適用条件に記載しています。

また、対象地域における標準的な宅地に比して、というのも関係なくなり、個別で判断できるようになりました。

新広大地通達で、「広大地に該当するかどうか」の適用要件が、非情に明瞭・簡潔になったと言えます。

これは、「広大地での相続税対策がしやすくなった」ことも意味します。

広い土地の相続税対策はしやすくなった
広い土地の相続税対策はしやすくなった
新広大地通達により、広大地の適用要件が明確になった

広大地適用に該当しないことを恐れて、土地を更地のままにしておく必要は、もうありません。

普通の宅地と同様に、賃貸不動産を建てる等の相続税対策が可能です。

広大地に該当しても「時価鑑定」の検討が必要な場合もある

旧広大地と新広大地では、相続税の評価方法も変わりました。

なお、新広大地の評価方法は、地積規模の大きな宅地の評価方法に記載しています。

評価方法の変更により、市街地山林などは、旧広大地評価額よりも、新広大地評価額の方が高くなる傾向にあると言えます。

旧広大地の時にシミュレーションした金額より、「だいぶ高くなっている」場合があるということです。

そして、あまりに新広大地での評価額が高くなっているようでしたら、不動産鑑定士による評価(時価鑑定)で、相続税の申告を検討してみましょう。