
配偶者が亡くなった後、婚姻前の旧姓に戻すための手続きは、残された配偶者と子供で異なります。また、亡くなった配偶者の親族との関係を法的に終了させることも可能です。もし姻族関係をそのままにしておくと、亡くなった配偶者の親兄弟などに対して扶養義務を負うリスクがあります。
配偶者が亡くなった後の名字の扱いは自由です。
婚姻によって名字を変更していた場合、残された配偶者は旧姓に戻すことも、そのままの名字を名乗ることも自由に選択できます。
もし名字を旧姓に戻したい場合は、役所へ「復氏届」を提出します。
復氏届について
提出先は、本籍地または所在地の市区町村役場です。
原則として提出期限はありません。
ただし、配偶者が外国籍で、死後3か月を経過してから手続きをする場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。
また、配偶者が外国籍の場合は「復氏届」ではなく「氏の変更届」という書類になります。
手続きに必要なものは、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類です。
令和6年3月1日の法改正により、戸籍謄本の提出は原則不要となりました。
また、届出への印鑑の押印も任意となっています。
ここで注意しなければならないのが、復氏届を出す際の戸籍の選択です。
復氏届を出すと「元の戸籍に戻る」か「新しい戸籍をつくる」かを選ぶことができます。
将来的に子供を自分の戸籍に入れる予定がある場合は、必ず「新しい戸籍をつくる」を選ぶよう注意しましょう。
日本の戸籍は親と子の2世代までしか入れないため、自分が両親の戸籍に戻ってしまうと、そこに子供を追加することができなくなってしまいます。
そして、もう一つ注意すべきなのが子供の名字です。
復氏届を提出して旧姓に戻るのは、手続きをした本人のみです。
何もしなければ、子供の名字や戸籍はそのままの状態になります。
子供の名字も旧姓に変更し、親と同じ戸籍に入れるためには、家庭裁判所での手続きが必要です。
具体的には、子供の住所地を管轄する家庭裁判所へ「子の氏の変更許可申立書」を提出します。
子供が15歳未満の場合は、親などの法定代理人が申立てを行います。
手続きには、申立書のほか、子供の戸籍謄本と父母の戸籍謄本などが必要です。
役所の窓口とは異なり、家庭裁判所での手続きには引き続き戸籍謄本が求められます。
家庭裁判所から許可の審判を受けた後、役所に「入籍届」を提出することで、無事に戸籍を移すことができます。
配偶者が亡くなると、夫婦としての婚姻関係は解消されます。
しかし、亡くなった配偶者の親族との「姻族関係」は、自動的には終了しません。
この関係を終わらせたい場合に利用するのが、「姻族関係終了届」です。
なお、この手続きを行っても、子供と亡くなった配偶者の親族との関係は変わりません。
姻族関係終了届を提出する際、配偶者の親族からの同意は一切不要です。
この手続きを行う最大のメリットは、亡くなった配偶者の親族に対する扶養義務などがなくなる点にあります。

姻族関係終了届について
提出先は、本籍地または所在地の市区町村役場です。
届出ができるのは残された配偶者のみであり、亡くなった配偶者の親族側から手続きを行うことはできません。
提出期限に定めはなく、いつでも手続きが可能です。
手続きの際には本人確認書類が必要となりますが、令和6年3月1日以降は戸籍謄本の添付が原則不要となり、印鑑の押印も任意です。
姻族関係終了届を提出しても、名字が自動的に旧姓に戻ることはなく、戸籍もそのままです。
旧姓に戻したい場合は、別途「復氏届」を提出する必要があります。
ちなみに、復氏届と姻族関係終了届の両方を行う場合は、同時に役所へ提出することが可能です。
何度も役所へ足を運ぶ手間を省くことができます。