受託者の死亡や認知症を想定し【あらかじめ信託契約】で定めておく

相続で信託契約の地位は、引き継がれません。

よって、受託者が亡くなれば、その受託者の方の任務は終わりとなります。

引き継がない
引き継がない
受託者の相続人が、自動的に受託者になることはない

このようなことを想定し、第2受託者等を「あらかじめ信託契約」に定めておきましょう。

最悪は信託自体が終了

家族信託は長期にわたる場合が多く、今後何十年も続くということは、決して珍しいことではありません。

そんな中、信託期間の途中で受託者が、

  • 認知症になった
  • 死亡した

場合や、あるいは受託者に後見人がついた場合には、受託者の任務が終了します。

受託者が認知症
受託者が認知症
受託者が認知症になったり、死亡あるいは後見人がついた場合には、受託者の任務は終了します。

受託者の相続人が、その地位を引き継ぐのでは?

残念ながら、それは出来ません。

家族信託の受託者は、信託財産の名義や管理が受託者になっているだけで、信託財産そのものは受託者のものではありません。

なので、受託者の相続人が亡くなっても、信託財産がその相続人に相続されることはありません。

そして、相続では地位の相続というものはありません。

例えば、父親が医者で、父親が亡くなり医者の地位を相続した。

このようなことは出来ません。そして、受託者も同じです。

受託者という地位を相続する・させることは出来ません。

なので、信託された財産を管理する人がいなくなりますので、直ぐにでも新しい受託者を見つける必要があります。

受託者が認知症になったり死亡しても、次の受託者が決まれば、その家族信託は継続できます。

ただし、注意点があります。

新しい受話者が決まらない状態が1年間継続したときは、その信託は終了となります。

終了
終了
受話者が決まらない状態が1年間継続したときは、その信託は終了

受託者が死亡したり認知症になったら、最悪は信託自体が終了する可能性があるということです。

第2受託者を定めておく

受託者が死亡したり認知症になり、新しい受話者が決まらない状態が1年間継続すると信託は終了します。

また、新しい受託者が決まったとしても、決まるまでの間、信託管理をする人がいないので、受益者に不利益を与えかねません。

このような事態を避けるためにも、信託契約の段階で、受託者がいなくなっても、信託を継続出来るように設計する必要があります。

その方法はズバリ、第2受託者を定めておくことです。

初めの受託者が認知症や死亡した場合に備えて、次の受託者を決めておくのです。

受託者Aが死亡した場合(あるいは認知症になった場合)には、受託者Bが引き継ぐ、という旨を信託契約の中が定めます。

確かに委託者と受益者の合意で、新たな受託者を選任することは可能です。

ただ、その時(初めの受託者が認知症や死亡した場合)に受託者を受けてくれる人がいるかどうか?

信託契約時には、このような様々なリスクを想定して、契約条項を定めていきましょう。

想定
想定
信託の契約条項を定める際には、様々なリスクを想定しましょう。

なお、信託財産に不動産が含まれている場合で、受託者や受益者に変更が生じた時は、受託者や受益者の変更登記が必要となります。

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家族信託の受益者を複数人にすることは可能

動画で解説

家族信託で受託者が亡くなったり、認知症になってしまったりした時のことについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

家族信託の受託者が死亡したり認知症になったら?

動画内容

家族信託は認知症などによって、財産の管理ができなくなったときのために行う、家族同士の信託契約です。

ただ、将来のことは誰にもわかりません。

家族信託を行ってから、何年、何十年と時間が経過することも考えられます。

そのような中で、万が一、財産管理の委託を受けた人、つまり受託者の方のほうが先に亡くなってしまったり、認知症になってしまったりすると、どうなるのでしょうか。

もし家族信託を行ったあとに、受託者が亡くなってしまった場合、代わりの受託者を探さなければなりません。

中には、その亡くなった人の相続人となる人が、引き続き受託者になるのではないか、と考える方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、相続で信託契約の地位は引き継がれることはありませんので、受託者が亡くなれば、その受託者の方の任務が終わりとなります。

したがって、代わりとなる新しい受託者を探さなければなりません。

続いて、受託者が認知症となってしまった場合ですが、その認知症となってしまった方に後見人がついてしまった場合も、その受託者の方の任務は終わりとなります。

そして、代わりの受託者が見つからず、そのまま1年間、新しい受託者が決まらなければ、その信託は終了となってしまいます。

そのようなことにならない方法として、あらかじめ第2受託者を決めておく、という方法があります。

もし受託者Aさんに何かあった後は、Bさんが受託者を引き継ぐ、というような内容をあらかじめ信託契約にしておくのです。

こうしておけば万が一のときも、信託財産の管理を円滑に続けることができます。

家族信託とはもともと、ご家族に何かあったときに、本人や親族が困らないように行われるものです。

家族信託を行うときは、先々どのようなリスクが考えられるか、専門家と相談しながら、必要に応じて第2受託者を決めることも検討しましょう。

相談
相談
第2受託者を決めることも検討しましょう。

そして相続や家族信託のことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

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