信託に関する債務の履行を【信託財産のみに限定】して行う方法
受託者の責任を限定する方法について、解説しています。
限定責任信託で受託者の固有の財産を守る
信託に関する債務の責任は、受託者が負います。
そして、もしも受託者が信託財産のみで、債務の履行が出来なくなった場合、受託者の固有の財産で債務の履行をする必要があります。
このように信託契約において、受託者の責任はかなり重いものとなっています。
でも、これじゃあまりにも厳し過ぎるのでは・・。
個人の財産ぐらいは守りたいのだが・・。
こう思われる方も少なくないと思いますが、ご安心下さい。
個人の財産を守る方法はあります。
それは限定責任信託という方法です。
限定責任信託とは、信託に関する債務の履行を【信託財産のみに限定】して行うというものです。
仮に債務不履行になったとしても、受託者の固有の財産で債務を履行する必要はありません。
このように限定責任信託を利用すれば、受託者の責任を限定することが可能になります。
限定責任信託の方法
限定責任信託をするためには、まず信託契約にその旨を定めることと、限定責任信託を設けてから、その旨の定めを「2週間以内に登記」する必要があります。
定める事項や登記する事項は、主に以下のようなものになります。
- 限定責任信託の目的
- 受託者の氏名や住所
- 限定責任信託の事務処理地
- 信託財産の管理、又は処分方法
- 信託の終了について定めがある場合は、その定め
また、限定責任信託を利用する場合は、取引の相手方にその旨を示す義務があります。
動画で解説
家族信託の受託者の責任を限定する方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
受託者とは信託契約において、財産を託される人をいいます。
このとき託された信託財産に債務がある場合があります。
債務とは、たとえば借入金の返済などのことです。
もし託された信託財産に債務があるとき、その債務を履行する責任は受託者が負うことになっています。
他人の財産の管理を任される立場とはいえ、その責任はかなり重いものになっています。
どのくらい重いのかというと、もし信託財産の債務の履行ができなくなった場合、受託者個人の財産で債務の履行をする必要がある、というレベルです。
確かに財産を託す側としては、そのくらいの気持ちでやってもらいたいかも知れないのですが、個人の財産まで差し出さないといけない場合があるとなると、ちょっと厳しいですよね。
しかも信託の使い方はピンからキリまでありますので、そこまでの責任を負うことがなじまない信託もあります。
ではどうすれば信託を活用しつつ、受託者個人の財産を守ることができるのでしょうか。
それには限定責任信託という方法があります。
限定責任信託とは、債務の責任を信託財産のみに限定するというものです。
仮に債務不履行になったとしても、受託者の個人の財産で債務を履行する必要がなくなります。
では限定責任信託をするには、どうすればよいのでしょうか。
まずは信託契約に、そのことをきちんと定める必要があります。
そして、ここが重要なのですが、限定責任信託の登記を2週間以内にしなければなりません。
限定責任信託のルールを決めることは、財産を託す側・託される側の二者だけの問題ではないからです。
どのような内容を信託契約に定めないといけないか、あるいは登記をするのかは、法律によって決められています。
主に限定責任信託の目的、受託者の氏名や住所、限定責任信託の事務処理地、信託財産の管理、又は処分方法、信託の終了について定めがある場合は、その定めといった内容です。
なお、限定責任信託をした後の話ですが、受託者は第三者である取引の相手にそのことを示さなければ、相手に限定責任信託であることを主張できません。
注意をしてください。