子供へ残された妻の面倒をみさせながら遺産を相続させる

通常、夫が先に亡くなり、妻が残されるということが多いです。

この場合、残された妻の老後の生活を考えて、妻へ全ての遺産を相続させたい。

だが二次相続を考えると、ある程度子供達へも遺産を相続させたい、という場合があります。

一番は子供達にも遺産を相続させて、子供たちが残された妻の面倒を見てくれるのがベストです。

しかし、本当に子供達が残された妻の面倒をみてくるのか?

やはり妻に全ての遺産を相続させるべきか?

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迷われる方もいらっしゃいます。

これを解決する方法として「家族信託の利用」があります。

具体的には、以下のようにします。

  • 委託者:夫
  • 受託者:妻
  • 受益者:子供

上記のように家族信託を設定し、子供達にも遺産を相続させます。

そして子供達への遺産は信託財産にして、信託契約により受託者である妻が「毎年少しずつ子供達へ財産を支給する」という信託契約をします。

この信託契約であれば、子供達へ遺産を相続させることができ、かつ毎年、残された妻からの受け渡しとなり、面倒を見てくれる可能性が高まります。

もちろん、遺産全てを信託財産にせず、妻へ遺産の一部を相続させることも可能です。

このような信託契約は、二次相続税対策と残された妻の面倒に有効です。

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遺産の無駄使いを防ぐ

上記のように家族信託を使えば、毎年少しずつの遺産の引き渡しという形をとることができます。
(相続税の計算は、一括で相続したものとして計算します。)

多額の遺産を相続して、無駄使いをしてしまった。

また、多額の遺産を相続することによって、勤労意識が萎えてしまった。

こういう例は少なくありません。

節税対策のやりすぎで「節税破産」する人がいるように、多額の遺産を相続して「生活破綻」する人も少なくありません。

生活破綻
生活破綻
節税破産する人がいるように、多額の遺産を相続して、生活破綻する人も少なくありません。

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一気に多額の遺産を相続したら「もう一生遊んで暮らせる」・「(子供が未成年などの場合には)勉強する意味がない」と考える可能性もあります。

家族信託は使い方によって、二次相続税対策や遺産相続後の生活設計に役立ちます。

相続税対策を検討される際には、「家族信託はかなり柔軟に対応できる」ということだけでも、頭の片隅に入れておきましょう。

そして、実際に家族信託を利用される場合には、必ず弁護士や税理士などの専門家と相談しましょう。

自由に設計できるというのは反面、リスクも大きくなります。

家族信託のリスク
家族信託のリスク
家族信託は自由に設計できる反面、リスクも大きくなります。必ず専門家と相談し、リスクにつていも検討する必要があります。

家族信託を利用する場合には、最新の注意を払い、納得のいく後悔のない設計をしましょう。

家族信託は相続人にもメリットがある

家族信託で二次相続税対策や老後の生活設計をする、ということについて、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴できます。

家族信託で二次相続税対策や老後の生活設計をしよう

動画内容

亡くなった時のことを考えると、心配になるのは遺された夫や妻の老後の生活だと思います。

お子さんが気にかけてくれているとよいのですが、離れて暮らしていると頻繁に連絡をとることもないと思います。

このような心配ごとも家族信託を活用することで、改善できる可能性があります。

どのように家族信託を活用するかというと、お子さんに相続させた財産を遺された配偶者に管理させるというものです。

具体的には委託者を夫、受託者を妻、受益者を子どもとする家族信託を生前に契約します。

この時、夫が亡くなったあと、子どもの財産は妻から子どもに少しずつ支給するという内容にしておきます。

そうするとお子さんは、相続した財産を遺された母親から定期的に受け取ることになります。

この状況でお子さんが母親に不義理をすることは、心理的に起こりにくいといえるでしょう。

もちろん、大多数のお子さんがこのような家族信託がなくても、何かあれば面倒をみると言ってくれると思います。

面倒を見る
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しかし、離れて暮らしていれば、理由がなければ、そう頻繁に連絡もとらないでしょう。

そこで、あえて家族信託を活用し、遺された配偶者からお子さんにお金を渡すというルールを作っておけば、遺された配偶者とお子さんが定期的に連絡を取り合う状況をつくることができます。

何もこの家族信託は、お子さんの心を掴むためにやるものではありません。

もしお子さんに浪費癖があれば、家族が財産を管理した方がお子さんのためによいでしょう。

また、配偶者とお子さん、それぞれが財産を相続すれば二次相続対策になり、トータルで支払う相続税が安くなる場合があります。

つまり、この家族信託は、お子さんにもメリットがあるということです。

メリット
メリット
家族信託には子供にもメリットがある

相続対策は税金を安くするためだけに行っても、うまくいきません。

大切なのは遺されたご家族が幸せに暮らすための相続を実現することです。

家族信託は内容を自分たちで柔軟に決められる点から、どのようなご家庭にも適用するメリットがあるものといえます。

家族信託にご興味のある方は、かならず相続の専門家に相談しましょう。

そして相続のことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

相続のワンストップサービスを提供しております。

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