遺言書の【書き換え】を防ぐ方法

家族信託で遺言書の書き換えを「実質的に防ぐ」ことが可能です。

遺言書の書き換えを家族信託で防ぐ

親族同士が納得の上で、父が遺言書を書いた。

でも、もしかしたら父が遺言書を書き換えるのでは?

遺言はいつでも・何回でも取消しや撤回が可能に詳しく記載していますが、遺言書はいつでも何回でも、「遺言者の意思で書き換える」ことが出来ます。

遺言書の書き換え
遺言書の書き換え
遺言書はいつでも何度でも書き換えが可能

相続で揉めないように親族間で話し合い、皆が納得の上で遺言書を書いてもらったのに、その後に遺言書を書き換えられてしまったら、何の意味もありません。

かといって、遺言書を書き換えるのを禁止する、といったことは出来ません。

そうなると、相続が実際に発生する前に、100%相続の内容を確定することは出来ない?
とお考えになるかもしれません。

しかし、家族信託を使えば、
実質的に遺言書を内容を確定させる(=遺言書の内容の変更を防ぐ)
といったことが可能です。

防ぐ方法

遺言書の書き換え(正確には相続内容の変更)を防ぐ方法は、まず信託契約で受益権の相続(相続が発生した場合、誰が受益権を相続するか)について記載します。

こうすれば【遺言書で財産の相続を決めるのと同じ効果】を発揮することが出来ます。

受益権?という方は、そもそも信託って何?をご参照下さい。

そして、その受益権の相続についての内容を変更するには、親族全員の同意が必要と定めます。

こうすれば遺言者の意思だけで、自由に相続の内容を変更することが出来ません。

ちなみに同じ財産に対して、家族信託・遺言書の両方で記載がある場合、家族信託の方が優先されます。
(詳しくは家族信託すれば遺言書は不要?両方している場合どちらが優先?に記載しています。)

もしも遺言書を書き換えられる、もしくは書き換えてしまうのではないかと不安に感じる場合には、家族信託を利用して、実質的に相続の内容を確定させてしまう、という方法も検討してみましょう。

動画で解説

家族信託で遺言書の書き換えを実質的に防ぐ方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

遺言書の書き換えを防ぐ方法

動画内容

今となっては終活という言葉は珍しいものではなく、ご家族で死というものに向かえ合うことも少なくありません。

できれば家族に円満に相続を進めてほしい、そして遺される家族もそうしたいという気持ちから、家族で一緒に財産のことを考えて、遺言書を作成されるというご家族もあります。

これは争いを産まないという観点からいいだけではなく、相続税対策も並行して進めることで節税効果も見込めます。

しかし、そうやって一緒に遺言書を作成しても、ご本人がやっぱり書き換えようと思ったら、いつ・どんな内容で書き換えてもそれは自由です。

遺言としての要件を満たしていれば、その遺言書は有効です。

仮に古い遺言書と新しい遺言書が2つ見つかれば、日付けの新しいものの内容が優先されます。

本来、遺言者の気持ちを尊重するのが遺言書ですから、書き換えるのをやめさせることは、いくらご家族でもしてはいけません。

もし脅したり騙したりして書き換えさせない、あるいは思い通りの内容を書かせる、といったことをすれば、相続人としての資格を失う可能性もあります。

しかし、相続で揉めないように家族で話し合い、皆が納得の上で遺言書を書いてもらったのに、その後に遺言者が法律を知らないために、何かに影響されて遺言書を改悪されてしまったら、それはがっかりしますよね。

せっかく知恵を絞ってつくった遺言書も、何の意味もないものになってしまいます。

そうした遺言書の書き換えを、家族信託を使って実質的に防ぐ方法があります。

家族信託とは、家族内での信託契約のことです。

その方法とは、特定の財産について、誰が受益権を相続するかについてルールを作り、信託契約を結ぶというものです。

このとき、受益権の相続についての内容を変更するには、親族全員の同意が必要と定めます。

たとえば、お父さん名義の賃貸マンションを例に考えてみましょう。

お父さんは賃貸マンションの管理だけを長男に委託して、家賃収入はお父さんが受け取る、という家族信託があるとします。

つまり、受益権はお父さんにある状態です。

これは高齢になった賃貸物件のオーナーなどに利用される方法でもあります。

このとき信託契約の中で、受益権はお父さんから長男に相続すると決めてしまうのです。

そうすると、仮にお父さんが遺言書でこの賃貸マンションについて、何らかの指定をしたとしても家族信託の内容が優先されます。

お父さんが違う人に賃貸マンションをあげよう、と遺言書を作成しても、家族信託の効果によって受益権を相続するのは長男になる、ということです。

そしてこの部分は、お父さんが単独で変えることができません。

なぜなら、受益権の変更は親族全員の同意が必要と定められているからです。

こうすることにより、特定の財産について、遺言書で家族の決定を変えられてしまうことを実質的に防ぐことができます。

他にも家族信託にはさまざまな活用方法がありますので、専門家に相談してください。

そして、家族信託や遺言書の作成、相続税の対策や相続税の申告のことなら、税理士法人・都心綜合会計事務所にお任せください。

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