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かつてのタワマン節税:時価と相続税評価額の乖離を利用

まずは、かつてなぜタワーマンションが節税になったのか、その仕組みを振り返ります。

タワーマンションの場合、非常に多くの人がその敷地を共有しているため、一戸あたりの土地の持ち分(敷地権)が極端に小さくなります。

タワーマンション
タワーマンション
人数(住戸)が多いため、従来の計算では土地の評価額が非常に低く算出されていました。

また、建物の固定資産税評価額は、専有面積が同じであれば「低層階・高層階に関係なく同じ」という特性がありました。

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しかし実際には、高層階になればなるほど眺望が良くなり、「市場での販売価額(時価)は跳ね上がる」傾向にあります。

眺望
眺望
高層階は時価が高騰する一方、相続税評価額は低く抑えられていました。

結果として、「時価(売却価格)では1億円するのに、相続税評価額で計算すると2,000万円にしかならない」といった、【時価と相続税評価額の大きな乖離】が生まれていました。

現金1億円をそのまま相続すれば1億円の評価ですが、タワマンに変えれば2,000万円の評価に圧縮できるため、強力な節税策として利用されてきたのです。

令和6年改正:評価額が「時価の最低6割」へ強制引き上げ

この「行き過ぎた節税」を問題視した国税庁は、ついに令和6年(2024年)1月1日より、居住用の区分所有財産(マンション)の新しい評価ルールを導入しました。

税負担
新ルールの導入
新しい評価基準により、時価との乖離を是正する計算が加わりました。

新ルールでは、「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」の4つの指標を用いて、そのマンションの「評価乖離率」を算出します。

そして、従来の計算方法による相続税評価額が「市場価格(時価)の60%」に満たない場合は、最低でも時価の60%になるように評価額が強制的に引き上げられることになりました。

これにより、かつてのように「時価の2割〜3割」といった極端に低い評価額で申告することはできなくなりました。

  1. タワーマンションの高層階ほど、乖離率が高く判定される
  2. 「区分所有補正率」が掛けられ、評価額が大幅に上がる

計算上の仕組みが根本から変わったため、「理屈上は節税になる」という大前提が崩れ去ったことになります。

極端な節税は「総則6項」で否認されるリスクも依然健在

計算ルールが改正されたからといって、安心できるわけではありません。

国税局は、形式的なルールをクリアしていても、明らかに租税回避を目的とした悪質なケースには「財産評価基本通達 総則6項(伝家の宝刀)」を用いて個別に否認してきます。

否認
否認
最高裁でも、あからさまなタワマン節税が否認された判例が出ています。

特に以下のようなケースは非常に危険です。

  1. 高齢になってから、多額の借金をしてタワーマンションを購入した
  2. 購入日と相続発生日(死亡日)が極めて近い
  3. 相続発生後、相続税の申告前にタワーマンションを即売却した

このような場合、「そもそも居住や投資の目的がなく、単なる節税目的(租税回避行為)である」とみなされ、特例の評価額ではなく「購入時の時価(鑑定評価額)」で課税されるリスクがあります。

タワーマンションによる相続税対策は、もはや安易に手を出せるものではなく、完全な「赤信号」状態と言ってよいでしょう。

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