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認知症や知的障がいの方が相続放棄をする場合は成年後見を利用

相続放棄は、原則としてご自身で状況を判断し、手続きを行う必要があります。

しかし、認知症や知的障がいがある方の場合、借金を背負うといった不利益を正しく理解できないケースが少なくありません。

判断ができない
判断ができない
相続人が認知症や知的障がいを抱えている場合、ご自身の意思を明確に判断したり伝えたりすることが難しいケースが少なくありません。

このようにご自身の意思で判断することが難しい方を守るためには、「成年後見制度」を利用して手続きを進めることになります。

成年後見制度の詳しい仕組みについては、「成年後見制度とは保護者を付けるような制度」の記事もご参照ください。

すでに成年後見人がついている方であれば、ご本人に代わって成年後見人が相続放棄の手続きを行います。

ただし、ご本人と成年後見人が一緒に同じ財産を相続するような場面では、「利益相反(利益がぶつかり合うこと)」に該当する可能性があります。

利益相反になる場合は、成年後見人であっても手続きの代理ができないため、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

なお、すでに「成年後見監督人」がいる場合は、特別代理人を選任しなくてもその監督人が代理を務めることができます。

一方で、症状が比較的軽く「被保佐人」となっている方の場合は、保佐人の同意を得たうえでご本人が自ら手続きをします。

もし保佐人に代理権が与えられているのであれば、保佐人が代理で手続きを行うことも可能です。

保佐人が正当な理由なく同意してくれない場合は、家庭裁判所に申し立てることで同意に代わる許可をもらうことができます。

さらに症状の軽い「被補助人」の場合は、補助人の同意が必要かどうかは家庭裁判所の審判内容によって異なります。

近年、特に注意が必要なのが、2024年4月にスタートした相続登記の義務化です。

認知症の方がいるからといって不動産を長期間放置してしまうと、罰則の対象となるリスクがあります。

借金などのマイナス財産が多い場合や、不動産の管理が難しい場合は、成年後見制度を活用して速やかに相続放棄を検討しましょう。

なお、成年後見人が代理で相続放棄を行う場合の期限は、「成年後見人が相続の開始を知った時から3か月以内」となります。

もし成年後見人をこれから選任してもらう場合、手続きに1~2か月以上の時間がかかり、3か月の期限に間に合わなくなる恐れがあります。

期限が迫っている場合は、家庭裁判所へ「期間伸長の申立て」を行うことで期限を延ばすことができます。

詳しくは相続放棄できる期間を3か月以上に延ばすには期間伸長の申立て!に記載しています。

利益相反にならないなら未成年者の親が相続放棄できる

相続人に未成年者(現在の民法では18歳未満)が含まれる場合、未成年者が単独で相続放棄の手続きをすることは法律で認められていません。

そのため、原則として未成年者の法定代理人である親が代わりに手続きを行うことになります。

しかし、子供の代理として親が相続放棄を行う際には「利益相反」に注意しなければなりません。

例えば、親と子供が同時に相続人になっている状況で、親が「子供だけ相続放棄をさせて自分は放棄しない」という選択をしたとします。

こうなると、親自身の相続分が増えることになり、親子の間で利益がぶつかる「利益相反」となってしまいます。

このような場合は、子供の権利を守るために親が代理人になることはできず、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

また、複数の未成年のお子様がいる場合にも注意が必要です。

例えば「長男には相続させて、次男だけ相続放棄させる」といったケースや、兄弟で別々のタイミングで相続放棄をするケースでは、子供同士の利益相反となり特別代理人が必要です。

特別代理人の詳しい手続きについては、「相続人に未成年者がいる場合、特別代理人が必要」の記事をご覧ください。

一方で、親が代わりに手続きを行っても利益相反にならないケースもあります。

代表的なのは、亡くなった方に多額の借金があり、親と子供が「全員一緒に」相続放棄をするケースです。

親が先に相続放棄を済ませている場合や、親と子供が同時に申立てを行うのであれば、利益相反にはなりません。

さらに、手続きを代行する親自身がそもそも相続人ではないケースも利益相反にはあたりません。

例えば、祖父母が亡くなり、すでに他界している親の代わりに未成年の孫が相続する「代襲相続」のケースです。

また、離婚した元配偶者が亡くなり、親権を持つ親が子供の相続手続きを代理するケースなども該当します。

これらの場合、手続きをする親は相続人ではないため、特別代理人を立てることなく親が手続きを進められます。

なお、未成年者が相続放棄をする際の期限は、「子供本人が知った時」ではなく、「法定代理人である親が、子供のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」となります。

もし特別代理人の選任が必要で3か月の期限に間に合わない場合は、先ほどと同様に「期間伸長の申立て」を利用しましょう。

認知症や知的障がい、未成年者の方であっても、このように適切な制度を利用すればしっかりと相続放棄を行うことが可能です。

相続や相続放棄の手続きでお困りのことがございましたら、税理士法人 都心綜合会計事務所にぜひご相談ください。

動画で解説

認知症患者や知的障がい者、未成年者の方々が相続放棄をするための手続きについて、税理士法人都心綜合会計事務所の税理士である田中順子が解説しています。

動画には字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴いただけます。

認知症患者や知的障がい者・未成年者でも相続放棄は可能?

動画内容

相続では、もしその財産を相続した場合、あるいは放棄した場合にこの先どうなるのか、といった自分の利害について正しく判断しなければなりません。

そして相続人の中に相続について、正しく判断することが難しい方がいる場合は、その方を法律で守る必要があります。

例えば認知症患者の方・知的障がい者の方・未成年者の方などです。

もし相続について正しく判断できない方がいると、悪意のある他の相続人やその関係者が近づいて、自分たちの相続分を増やすためにわざと相続を放棄するよう、そそのかすかもしれません。

こうした方々を守れるよう、認知症患者や知的障がい者の方には成年後見制度を利用することができます。

成年後見制度とは、判断力の乏しい方が不利益を受けないように、信頼できる人を法律上の行為の代理人として選ぶことです。

この制度によって代理人となった人を後見人といいます。

この制度を利用すれば、認知症患者や知的障がい者の方が相続人になっても、その相続放棄は後見人が行うため、他の相続人などにそそのかされて相続放棄をしてしまうことはありません。

一方、未成年者の方については親が代理人となるため、未成年者の相続放棄は親が代わりに行います。

ただし親が代わりにできる相続放棄には条件があって、子の相続放棄によって自分が得る利益が増えるような行為は勝手にできません。

このような行為を利益相反行為といいます。

もし、こうした相続放棄が必要な時は、さらに特別代理人という別の代理人を選ぶ必要があります。

ただし特別代理人が必要となるケースは、あくまで利益相反行為となる場合なので、親子で相続放棄をする場合に選任は不要となります。

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