相続税の延納の利子はどのくらい?
これは一律に何%と言えません。
不動産等の価額が課税相続財産の価額にしめる割合で決まるからです。
(2015年以降は一時的に市場の低金利を考慮して、特例の低い利率が適用されています。)
もしも金融機関でお金を借りられる場合は、金融機関から借りて相続税を一括で払うのも一つの手です。
では相続税の延納の利子はどのくらいかかるのか?
具体例
以下の条件のもと延納申請をした場合
- 不動産等の割合が50%未満
- 一般の延納相続税額が3,000万円
- 延納申請年数5年
- 利子税率年0.7%
この場合、元金3,000万円+利子税63万円(5年間合計)=3,063万円が5年間で支払う相続税総額となります。
相続税の延納を考える場合には、必ず利子についても計算しておきましょう。
そして金融機関から借りた方が利子が安く済む場合は、金融機関からの納税資金の調達も考えましょう。
延納期間と利子税割合
当面は上記の表の特例割合が、相続税の延滞に係わる利子の税率と考えて頂いて大丈夫です。
ただ、原則は相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、以下の通りとなります。
(便宜上、動産等・計画伐採立木に係る延納相続税額については省略しています。)
不動産等の割合が10分の5未満である場合
- 一般の延納相続税額:5年以内
- 延納利子税割合:6.0%
- 特例割合(※1):0.7%
不動産等の割合が10分の5以上、4分の3未満である場合
- 不動産等に係る延納相続税額:15年以内
- 延納利子税割合:3.6%
- 特例割合(※1):0.4%
不動産等の割合が4分の3以上である場合
- 不動産等に係る延納相続税額:20年以内
- 延納利子税割合:3.6%
- 特例割合(※1):0.4%
特例割合と延納特例基準割合
(※1)特例割合
延納特例基準割合(※2)が7.3%に満たない場合は、特例割合が適用されます。特例割合は以下の算式により計算します。
利子税割合×延納特例基準割合(※2)÷7.3%(0.1%未満切り捨て)
(※2)延納特例基準割合
令和5年1月1日の延納特例基準割合は、0.9%となっています。
【具体例】(※1)の特例割合の求め方
利子税割合6.0%×延納特例基準割合0.9%÷7.3%=0.7397・・0.7%(0.1%未満切り捨て)
延納以外に金融機関でお金を借りることも検討する
相続税の延納制度以外の方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。
字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。
動画内容
今回は【相続税の延納制度以外の方法も検討してみよう】というお話しです。
延納とは、相続税の分割払いのことをいいます。
分割払いできる期間は、相続した財産のうち不動産などが占める割合に応じて変動しますが、中には20年もの延納が認められるケースもあります。
このように延納は相続税の納付が難しいときの救済措置となりますが、その一方でデメリットもあります。
それは延納している期間中、利子税という税金が発生することです。
利子税とは延納した税額に対する利息のようなものになります。
延納を利用した人は、本来納付する税額に、この利子税を加えて納税しなくてはなりません。
利子税は一概に何%とはいえません。
本日は細かい率には触れませんが、例えば不動産などの割合が多いほど換金性が乏しいことから、延納期間は長く設定されており利子税の割合も安くなっています。
延納を利用するときは必ず利子税のことを念頭に入れてください。
そのときの利子税の割合によっては、あえて延納を使わず金融機関でお金を借りて、そのお金で納税した方が安くつくということもあります。
常に延納を利用したほうがいい、というわけではないのです。
延納をすすめられたからといって安易に利用するのではなく、納税に困ったら必ず相続の専門家に相談をして、自分にとって一番良い制度を利用するようにしましょう。