マイナス金利でも相続税の延納には利子がかかる

相続税の物納が出来ない。

でも、なんとか延納の要件は満たした。
(相続税の延納の条件については相続税の延納に記載しています。)

ほっと一息。

相続税の延納には利子がかかります。

えっ!

驚かれる方は少なくありません。

巷ではマイナス金利なのに、利子がかかる?

かかります。

マイナス金利でも相続税の延納には利子がかかります。

これは相続税の延納のデメリットといえます。

マイナス金利
マイナス金利
マイナス金利でも、相続税の延納には利子がかかります。

相続税の延納の利子はどのくらい?

これは一律に何%と言えません。

不動産等の価額が課税相続財産の価額にしめる割合で決まるからです。
(2015年以降は一時的に市場の低金利を考慮して、特例の低い利率が適用されています。)

不動産割合
不動産割合
不動産等の価額が課税相続財産の価額にしめる割合で、利子税率や延納期間が変わります。

もしも、金融機関でお金を借りられる場合は、金融機関から借りて、相続税を一括で払うのも一つの手です。

借金
借金
利子の金額によっては、金融機関から借金して、相続税を一括納付した方がいい場合もあります。

では相続税の延納の利子はどのくらいかかるのか?

具体例

以下は具体例です。

相続税額3,000万円について以下の条件のもと、延納申請をした場合

  1. 不動産等の割合が90%
  2. 不動産等にかかる延納税額が3,000万円
  3. 延納申請年数10年
  4. 利子税率年0.8%

この場合、元金3,000万円+利子税132万円(10年間合計)=3,132万円が10年間で支払う相続税総額となります。

相続税の延納の具体例
相続税の延納の具体例
当面は、特例割合の税率を使うと考えて問題ありません。(参考:国税のホームページの相続税の延納)

相続税の延納を考える場合には、必ず利子についても計算しておきましょう。

そして、金融機関から借りた方が、利子が安く済む場合は、金融機関からの納税資金の調達も考えましょう。

延納期間と利子税割合

当面は上記の表の特例割合が、相続税の延滞に係わる利子の税率と考えて頂いて大丈夫です。

ただ、原則は相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、以下の通りとなります。
(便宜上、動産等・計画伐採立木に係る延納相続税額については省略しています。)

不動産等の割合が10分の5未満である場合

  1. すべての延納相続税額:5年以内
  2. 延納利子税割合:6.0%
  3. 特例割合(※1):1.3%

不動産等の割合が10分の5以上である場合

  1. 不動産等に係る延納相続税額:15年以内
  2. 延納利子税割合:3.6%
  3. 特例割合(※1):0.8%

不動産等の割合が4分の3以上である場合

  1. 不動産等に係る延納相続税額:20年以内
  2. 延納利子税割合:3.6%
  3. 特例割合(※1):0.8%

特例割合と延納特例基準割合

(※1)特例割合

延納特例基準割合(※2)が7.3%に満たない場合は、特例割合が適用されます。特例割合は以下の算式により計算します。

利子税割合×延納特例基準割合(※2)÷7.3%(0.1%未満切り捨て)

(※2)延納特例基準割合

平成29年1月1日現在の延納特例基準割合は、1.7%となっています。

【具体例】(※1)の特例割合の求め方

利子税割合6.0%×延納特例基準割合1.7%÷7.3%=1.3972・・1.3%(0.1%未満切り捨て)

相続税の納税に困ったら延納するしかない?

相続税の延納制度以外の方法について、税理士法人・都心綜合会計事務所の税理士・田中順子が解説しています。

字幕が付いておりますので、音を出さなくてもご視聴出来ます。

相続税の納税に困ったら延納するしかない?

動画内容

今回は【相続税の延納制度以外の方法も検討してみよう】というお話しです。

延納とは、相続税の分割払いのことをいいます。

分割払いできる期間は、相続した財産のうち、不動産などが占める割合に応じて変動しますが、中には20年もの延納が認められるケースもあります。

このように延納は、相続税の納付が難しいときの、救済措置となりますが、その一方でデメリットもあります。

それは、延納している期間中、利子税という税金が発生することです。

利子税とは、延納した税額に対する利息のようなものになります。

延納を利用した人は、本来納付する税額に、この利子税を加えて納税しなくてはなりません。

利子税は、一概に何%とはいえません。

本日は、細かい率には触れませんが、例えば、不動産などの割合が多いほど、換金性が乏しいことから、延納期間は長く設定されており、利子税の割合も安くなっています。

延納を利用するときは、必ず利子税のことを念頭に入れてください。

そのときの利子税の割合によっては、あえて延納を使わず、金融機関でお金を借りて、そのお金で納税した方が安くつく、ということもあります。

常に延納を利用したほうがいい、というわけではないのです。

延納をすすめられたからといって、安易に利用するのではなく、納税に困ったら、必ず相続の専門家に相談をして、自分にとって、一番良い制度を利用するようにしましょう。