相続時精算課税適用者である孫は「相続税の計算上」では不利

被相続人の孫(その年1月1日において18歳以上)であれば、その孫も相続時精算課税方式を選択できます。

相続時精算課税制度を利用して、孫に収益物件等を贈与すると、

  • 相続を1回飛ばせる
  • 贈与税額を抑えられる
  • 被相続人の遺産増加の抑制になる

など、メリットがあります。

ただし、注意点もあります。

孫が相続時精算課税適用者である場合には、相続税の計算の際に、

  • 債務控除できない
  • 相続税の2割加算がある

という点に注意が必要です。

孫を相続時精算課税適用者にする場合の注意点
孫を相続時精算課税適用者にする場合の注意点
相続税の計算上では不利

孫が相続時精算課税制度を利用する場合には、これらのことを理解し上で利用しましょう。

債務控除ができない

相続時精算課税適用者が被相続人(特定贈与者)の孫である場合、孫は被相続人の法定相続人でないため、原則として、債務控除の適用が出来ません。

孫が葬式費用などを負担しても、相続財産(相続時精算課税適用財産の価額)から控除できません。

また、被相続人の借金などマイナスの財産を遺産相続しても、プラスの財産からマイナスできません。

孫が葬式費用などを負担したり、借金を相続したとしても、孫の相続税が安くならない、ということです。

ちなみに、これが被相続人の子供であれば、法定相続人ですので、葬式費用の負担や借金を相続すれば、その分相続税の節税につながります。

債務控除についての詳しい内容は、葬式費用は相続財産から控除等に記載しています。

ただし、孫が被相続人(特定贈与者)から、包括遺贈により遺産相続した場合は話が別です。

この場合には、孫でも債務控除ができます。

包括遺贈についての詳しい内容は、包括遺贈に記載しています。

相続税の2割加算がある

孫は被相続人からみたら、二親等の血族にあたります。

一親等の血族及び配偶者に該当しないので、相続税額の2割加算の対象となります。

ただし、被相続人の直系卑属(いわゆる子供)が相続開始以前に死亡しているため、孫がその代襲相続人である時には、相続税額の2割加算の対象にはなりません。

相続税の2割加算についての詳しい内容は、相続税の2割加算に記載しています。