業種区分・従業員数・総資産価額・取引金額にて会社規模を判定

会社規模により取引相場のない株式の評価方法が異なります。

そして会社規模は財産評価基本通達で定められている区分で判定します。

会社規模
会社規模
財産評価基本通達で定められている区分で判定

具体的な判定方法は以下のようになります。

会社規模の判定方法
規模区分区分の内容総資産価額及び従業員数直前期末以前1年間における取引金額
大会社従業員数が70人以上の会社
又は右のいずれかに該当する会社
卸売業20億円以上
(従業員数が35人以下の会社を除く)
30億円以上
小売・サービス業15億円以上
(従業員数が35人以下の会社を除く)
20億円以上
卸売業、小売・サービス業以外15億円以上
(従業員数が35人以下の会社を除く)
15億円以上
中会社従業員数が70人未満の会社で右のいずれかに該当する会社
(大会社に該当する場合を除く)
卸売業7,000万円以上
(従業員数が5人以下の会社を除く)
2億円以上
30億円未満
小売・サービス業4,000万円以上
(従業員数が5人以下の会社を除く)
6,000万円以上
20億円未満
卸売業、小売・サービス業以外5,000万円以上
(従業員数が5人以下の会社を除く)
8,000万円以上
15億円未満
小会社従業員数が70人未満の会社で右のいずれにも該当する会社卸売業7,000万円未満又は従業員数が5人以下2億円未満
小売・サービス業4,000万円未満又は従業員数が5人以下6,000万円未満
卸売業、小売・サービス業以外5,000万円未満又は従業員数が5人以下8,000万円未満

取引相場のない株式の会社規模の判定方法には、会社法での資産規模による分類や、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の対象の有無とは関係ありませんので注意が必要です。

例えば会社法では大会社に分類されても、上記の区分で中会社であれば、中会社として株式評価をします。
(ちなみに会社法での大会社は、最終事業年度のBSの資本金の額が5億円以上、もしくは負債の合計が200億以上の会社をいいます。)

業種区分の判定

業種区分は上記の表のとおり、以下の3つで判定します。

  1. 卸売業
  2. 小売・サービス業
  3. 卸売業、小売・サービス業以外

この3つのどの業種に該当するかは、直前期末以前1年間における取引金額で判定します。

また、2つ以上の業種に係わっている場合には、取引金額のうち最も多い取引金額の業種によって判定します。

そして業種は、まず日本標準産業分類(総務省ホームページ)にて調べて、その調べた結果と日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表(国税ホームページより)を基に判定します。

対比表一部抜粋

日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表
日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表(一部抜粋)

従業員数のカウント方法

以下の算式で従業員数をカウントします。

従業員数のカウント方法

A.継続勤務従業員
直前期末以前1年間において、その期間継続して会社に勤務していた従業員。
ただ、就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員は含まれません。

B.継続勤務従業員以外の合計労働時間数
直前期末以前1年間の会社に勤務していた継続勤務従業員を除く従業員の1年間の労働時間の合計時間数を、1,800時間(従業員1人当たり年間平均労働時間数)で除したものとなります。

なお、社長や理事長、役員(使用人兼務役員は除く)は従業員の範囲には該当しませんので、カウント対象外となります。

従業員の範囲についての詳しい内容は、取引相場のない株式の会社規模の判定に使う従業員の範囲に詳しく記載しています。

総資産価額

総資産価額(帳簿価額で計算した金額)は、課税時期の直前に終了した事業年度の末日(いわゆる直前期末)における各資産の帳簿価額の合計額となります。

取引金額

直前期末以前1年間における取引金額とは、その期間での会社の目的とする事業に係る収入金額(金融業や証券業の場合は、収入利息や収入手数料)となります。

なお、営業外収入や特別利益は含まれません。